山寺に降るニュートリノ

【山寺の本棚】

 本日もパラ読みで「ねこ耳少女の量子論 萌える最新物理学」を再読。
 すっかりねこ耳少女の世界にハマってます。
 漫画になるととっつきにくいことも親しみが湧くから不思議である。是非、続編で「ねこ耳少女の仏教学」とか「萌え萌え真言密教の世界」とかを出版してほしいと思っている。

 「南無大師遍照金剛」の「南無」とか真言の冒頭の「オン」というのは相手に対してひたすら心身を投げ出し、大感謝し、委ねきるという意味だと思っているので、「萌え」の究極の姿かもしれないと思ったりする。

 日本人は真面目なので難解なことを難解なまま理解しようとしている気がする。難解なことが分かりやすく表現できれば一番良いと思うのだが。
 小林秀雄は難解さの中に美を見出し、難解さを美を以って伝えようとしたが、楽しく分かりやすく伝えるということもとても意味があると思っている。


 ところで漫画を使わずに難解なことを説明するにはどうしたらいいかというと、ひとつの方法は対象を細かいピースにして、各個に撃破する方法である。

 少し前に買ったのが『日本人だからこそ覚えておきたいノーベル賞理論!図解「素粒子」入門』(宝島社)。

 見開き2ページにひとつのテーマがまとめられている。
 カラーイラストが1章だけなのはちょっと不満。カラーのイラストがもっと欲しいところ。
 それでも短いトピックを積み重ねた構成で基本概念や歴史が分かるようになっている点は良い。

 この本を手にとった時、たまたま小柴昌俊氏の項にこんなことが書いてあった

    ニュートリノはいつどんなときもシャワーのように降り注いでいる
    眼には見えませんが、私たちの体を毎秒、何兆個ものニュートリノが通り抜けているのです

 我々素人にはこんな言葉すらとても新鮮に聞こえる…というわけで衝動買い。
 この山寺にも、私にもニュートリノがふりそそいでいると考えると、何となく楽しいではないか。





◆目次◆
第1章 素粒子物理学の標準理論
第2章 量子力学で踊る素粒子のふるまい
第3章 素粒子物理学量子力学の小史
第4章 素粒子の世界を開拓した日本人ノーベル賞物語
第5章 標準理論を超えて、究極理論の世界へ