我が「多甚古村」

【本日の境内】
紅葉はまだまだ、鮮やかな赤色は野村もみじです。



本日もほぼ快晴。

相変わらずバタバタしている。

本堂は庫裏から離れていて石段を105段登ったところにある。
防犯のために本堂内に音声マイクで拾うと共に防犯カメラを設置している。

キッチンでまかないのオムライスを作っていると…

「○○×××!」

男の声で怒号が聞こえた。そして大きな物音も。
何か事件が!
しかも本堂当番は檀家さんで、高齢のおばあちゃん…

おばあちゃんの身に何かあったに違いない…
携帯電話をつかむと庫裏を飛びだした。
本堂への近道はかなり急な傾斜の山道である。
普段、走ることが無いのに必死で駆けあがった、ようやく視界に本堂が入ると
本堂の下で丁寧に草むしりしているおばあちゃんの姿が目に入った。

…やれやれと思うと一気に緊張が解けた。とたんに足の筋肉が静かに痙攣を始めた

…プルプルプルプルプルプルプル…

不審な怒号の正体は何かというと見知らぬ青年が本堂の脇で脚本を片手に演劇の練習をしていましたととさ…


人騒がせです…




警察が被害者を犯人と錯覚して獲り抑え、その結果、刺殺されるという痛ましい事件がった。
私などかなりおっちょこちょいなので、私が警官ならピストルらしきものを持っていたら躊躇せずに飛びかかってしまうだろう。



全然、レベルは違うが似たような経験もある。

数年前に防犯カメラに賽銭泥棒が賽銭を盗る姿が映っていた。警察に通報してから木刀を片手にやはり斜面を必死で駆けあがり、賽銭泥棒と対決しているところに警察官が駆けつけてきた。

警官氏は必死で103段に石段を上がってきた。
慣れないせいかかなりゆっくりと…
石段を登りおえるとかなりの息切れ

…ハァッ、ハアッ、ハァッ、ハア、ハア、ハアッ…

片手を膝に突き、疲労困憊の様子。
こんなん状態じゃ捕り物は無理なのでは…
ようやく動悸が治まったかと思うと私に向かって

「あんたどこから来たっ?お参りの人かっ?」

って俺が犯人かいっっ!

いつの間にか小説を読まなくなって久しい。
だが昔読んだ小説の場面や読後感、興奮、感動…そういったものが時々よみがえることがある。

昨今は実録的な警察小説が多いが、中学生の頃読んだ井伏鱒二の「多甚古村」が忘れなれない。
田舎に赴任した駐在の日常生活をのんびりと、ユーモアあふれる筆致で描いている。
登場人物への暖かな眼差しを三十年以上経った今も覚えている。人間の記憶や感覚というのは面白いものである。
芥川龍之介のシャープな感じの対極というか、じんわりとした滋味にあふれた名品である。



【追記】

本日でようやく1000回目の更新を終えることができました。
いつも拙文をご覧下さる皆様。
暖かく、鋭く、奥の深いコメントを寄せて下さる皆様。
篤くお礼申しあげます。
           金剛院  住職(←いつのまにか住職になってます)  九拝

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