新年の御挨拶



本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
皆様の御清福を心より祈念いたします。
                  合掌

                ぶろぐ坊  九拝




晦日の晩に本堂で年越しのお勤めを終えて、熱い風呂に浸かり、心地よさに浸っていると、丁度、午前零時になったらしく、汽笛の音が聞こえた。



毎年、新年を迎えると舞鶴港に停泊している船が一斉に汽笛を鳴らす。
海岸まではかなりの距離があるのだが、夜の静けさの中をはっきりと汽笛の音が響いてくる。


何か愉し年終わる夜の熱き湯に    日野草城




正月というのは人間の運気を切り替える重要な役割を持っていると思う。

古いものを脱ぎ棄て、新しい自分になるということである。

古いものを脱ぎすてる時に、自分の悪しきものも同時に放擲するのである。


自分にとっての不幸というのは実は、自分自身が懸命に背負い続けていることがある。
自分から手放すということに気がつくととても楽になることが往々にしてある。


新しい年の初めに、何かに挑戦するというのは良いことである。
新しい夢を描くというのもとても素晴らしい。



そう考えると年中行事としての大掃除や新年の一連の行事というのがとても大切なものに思えてくる。

旧年中に古いものに分かれを告げ、新年に新しい自分に出逢うのである。




昨年、寺務所の大掃除をしていて、眼についたものがある。
大きな網代笠と小さな鈴が柱の高い所に掛けてあるのである。


下ろしてみると随分埃がたまっていたので掃除機で汚れを落とした。
普段使わない物なので、倉庫にしまおうと思ったのだが、ふと思い出したことがある。


昭和の終わりに火事でこの山寺の建物が全焼し、その再建の為に老僧がこのお寺に赴任したのだが、最初は市中で托鉢することから始めたと聞いたことがある。
おそらくこの網代笠と鈴はその時のものなのだと思った。


托鉢から初めてお寺の再建をするというのは並大抵のことではない。
自分が同じことをやれと言われれば二の脚を踏むだろう。


そのことを思うとこの網代笠と鈴をしまうのが何だか申し訳ない気がして、また柱の高い所に掛けておくことにした。


年に一度はこの網代笠の埃を払い、自分の心を保つそんな縁(よすが)にしたいと思う。



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