ハロウィン嫌いと天空の名刹
【今月の『寺門興隆』】
秋になるとハロウィン関連の商品を見かけるがどうも気にいらない。
なぜ日本でハロウィンなのか?
こういった<作られた年中行事>の殆どは欧米の行事である。
中国やタイやベトナムの年中行事ではないのである。
これは或る種の差別意識である。
『欧米の文化は優れている!』
『欧米はカッコイイ!』
言いかえれば
『日本は劣っている』
『日本はカッコ悪い』
『アジアは劣っている』
『アジアはカッコ悪い』
ハロウィンの経済規模は約600億円でクリスマスの10分の1、バレンタインの半分程度だが、ホワイトデイのそれを上回っているらしい。
だが仕掛けるほうも仕掛けるほう。乗る方も乗る方。
季節感を喪失し、日本の伝統行事をないがしろにして
企業にくすぐられた薄っぺらな物欲だけ…
そんな生き方のほうがよっぽどカッコ悪いと思うのである。
お坊さん専門誌『寺門興隆』(興山社)に良い記事が載っていた。
秩父にある大陽寺(たいようじ)の話である。大陽寺は臨済宗建長寺派のお寺である。
【大陽寺HP】http://www.taiyoji.com/
標高850メートルの高所にあり、半径5キロ圏内に民家が無い。
秘境といえるような山寺である。
Youtubeに「天空の寺」というタイトルで映像がアップされている。
大陽寺は鎌倉時代に嵯峨天皇の第三皇子であった仏国国師によって創建された名刹である。
江戸時代には「東国の女人高野」として望まぬ妊娠をした女性の駆け込み寺として知られた。
現住職の浅見宗達師は祖父の遺志を継いで普山されたが、檀家も30軒あまりで減少の途にあり、悪質な業者に騙されて寺財を失ったことと合わせて、大変な苦労をされているという。
現在はお寺を宿坊として開放され教化に努めておられるとのこと。
「宿坊研究会」などの投稿を読むと、大陽寺の宿坊はすこぶる評判が良い。ご住職の尽力とお人柄というべきだろう。
【宿坊研究会】http://syukubo.com/spot/03kanto/saitama009.html
冬季の4カ月は宿坊を閉め、ひたすら座禅と読書にて過ごされるという。
年収は数十万で冬は白米と梅干のみなのだという。一番感銘を受けたのは、信者さんからラブラドールレトリバーの犬を貰って友とし、大型犬であるがゆえに餌代がかさんで3食を2食にされたという。
ウチにも駄犬がいるが、そのために一日2食にできるかといわれると…(苦笑)この一節には本当に涙が出た。
道心堅固というべきか、慈愛というべきか。
こんなお坊さんになれたらいいなと思う。
名刹とは歴史の古さでも、伽藍の立派さでもなくそこに住む人が作るものなのだと改めて感じた。
こちらは正真正銘カッコいい生き方である。
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