日本人の冷えやむくみに  生姜入り紅茶

【お坊様のレストラン】

今年の夏は思いのほか暑い夏だった。
なにしろお坊さんにとって一番忙しいお盆が一番暑いというのが夏である。

棚行で檀家さんの家々をまわり終えて寺に帰り、どかっと汗をかいて体が火照っているような時でも衣を脱いで胃のあたりを触るとひんやりしているの気付いてびっくりしたことがある。

なにしろ行く先々で冷たいジュースだのお茶だのご馳走になる。
暑い時期に外を歩くと喉が渇くし、お経を読んだ後は一口くらい水分を摂ると喉が楽になる。口をつけたものは残さない主義なので口をつけたものは飲み干すことになる。

本当は檀家さんとゆっくり話をしたいことも多いがお盆は限られた時間内に沢山の家を回るので、話を切り上げるのに、頂いた飲み物を飲み干して「ご馳走さま、美味しかった」といって席を立つのが一番区切りがいい(笑)

正直言うと体温くらいの水分が一口か二口出してくれると一番有り難い。がそれは贅沢というものである。

東洋医学では食材を<冷><温>で分けることがある。
いうまでもなく陰と陽の哲学が背後にあるが、これは温度というより、血液の循環を促進する抑制することと関係があるような気がするが実際のところ私にはよく分からない。

陰陽の哲学が考えられた頃、冷蔵庫やクーラーはまだ無い時代だった。
 性質として冷の食べ物を冷やして食べたらどうなるか、身体を人工の冷風で冷やした人間が冷の食べ物を食べたらどうなるかと考えると、東洋医学の見方からすれば日本人は身体を冷やし過ぎであろう。

冷えは万病の元であることは大いに肝に銘じるべきである。
日本人から情が失われ、悪い意味でクールになりつつあることの一因ではないかとすら思われる。

女性向けの話をすれば、田中有久子氏などは冷えているところに脂肪が付くと説いておられるが一理ある気がする。

根菜の煮物などは体を温める良いレシピだが簡単には作れないし、毎日食べられるものではない。簡単でないと続かないのである。続けないと意味がない。

簡単に摂れて身体を温める食品をといろいろし試してみて結局行き着いた食材が生姜であり、この生姜入り紅茶である。

殆ど通年で愛用しているし、寒い時には欠かせない
漢方薬の処方の三分の一には生姜が配合されているとも聞いたことがある。
作り方は至って簡単である。

すりおろした生姜を少々紅茶に入れ、蜂蜜か黒砂糖のような精製していない甘みを少々

これだけである。
ポイントは生姜の管理である。

生姜は薬味にしたり、野菜炒めなどに少量でも入れたりしてできるだけ料理に使いたい。
一回に使う生姜の量は僅かなのだが、生姜を冷蔵庫に入れておくとたちまち即身仏みたいになってしまう(笑)

オススメは生姜の焼酎漬けである。これは亡くなった祖母に教えてもらったレシピである。インスタントーコーヒーやワンカップのような広口のビンに洗った生姜を塊のまま入れて、生姜がかぶるくらいの焼酎を入れる。常温で長く保存できる。

最初は紅茶に入れるときこの焼酎漬けの生姜を切ってすりおろしていたが、そのうちいい加減面倒になってきた。それにおろし金をつかうと、おろし金にくっついている生姜の量がバカにならない

まとめてすりおろして冷凍しておくと良いと友人が教えてくれた。
これはなかなか良い方法である。ただ凍ったおろし生姜は塊になるとまたすりおろさないといけないくらい固くなるので(笑)平たくのばして板状にし、必要な分だけスプーンで削って使う。

身体の冷えている日本人には冷凍したおろし生姜と生姜の焼酎漬けは是非常備して頂きたいものである。