千年榧(せんねんかや)

山門をくぐってしばらく歩くと大きなカヤの木が生えている。

高さが23メートルあり樹齢は800年以上とされる。「千年榧(せんねんかや)」というのが通称である。

 団体の参拝者を案内してこの巨木の前でその由来について説明するのが通例になっている。バスから降りてきたばかりの参拝者というのはみんな気持ちがバラバラである。
 しかし、このカヤの木を見上げ、私の説明に耳を傾けているうちに参拝者の気持ちがだんだん変わってくるのが感じられる。なんとなくお寺参りという気分が生まれ始めるのである。

 この現象は面白いと思う。決して私の説明が上手いのではなく、この樹の持つ圧倒的な存在感が日常のことで心で一杯になった人々の心にガツンと一撃を与えるのではないかと思う。この樹がこの場所にあってくれて本当に有り難いといつも思う。

 昨年、ウィキペディアでカヤについて調べようとして検索したら、カヤの樹の写真やカヤの実の写真はウチのお寺のものだったので少し驚いた。永らくこの地を見守ってくれたカヤの樹をこれからも大切にしていきたいと思う。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%A4