晩秋の空

burogubou2007-11-29


 ケヤキやもみじの落ち葉が絨毯のようである。暗かった地面の色が急に黄色や赤の明るい色で覆れ、山寺は晩秋を迎えている。

 夕方五時頃、外に出してあった床机を片付けている時、何となく空が明るいので上を見上げると夕陽に雲が照らされて光っている。先ほどまで薄いねずみ色に曇っただけの空だったのに…それにしても、その綺麗なこと!

 自然が表す芸術の中でも空という存在は最高のもののひとつだと思う。光も色も形も翳も刻々と変わっていくのである。周りの山々は殆ど暗い影にしか見えなくなっていて、それと対照的に鱗のような、波のような雲が光りながらゆっくりと動いていく。

デ ジカメを取りに庫裏に入り、妻を呼ぶ。二人で感心して写真を撮ったり、見入ったりしていると父も母も妹も外に出てきた。

 嫁ぎ先から毎日のように実家であるこの山寺を手伝いに来ている妹は
 「あんたたちいい環境で暮らしてるわねえ」
と少し羨ましそう。
 「お金を払ってもこんな所に住めないよ」
と74歳ロマンチストの父。
 「払うだけのお金はこの家にはないけど(笑)」
とシビアな妹…

デジカメの写真は思ったより綺麗であった。もちろん実物には遠く及ばないが。
 「女心と秋の空」
とは妻の感想である…