萌えます!山寺のねこ耳少女

【山寺の本棚】 

 産経紙上に楽しくて、為になる科学コラムを書いておられる“猫好き科学作家”竹内薫氏の新刊が出た。

「ねこ耳少女の量子論 萌える最新物理学」(PHP)である。

ねこ耳少女の量子論~萌える最新物理学~

ねこ耳少女の量子論~萌える最新物理学~

 アマゾンかブックオフで中古書を買うのが楽しみな私だが、500円という安さについ定価買い。

 この本は京都のジュンク堂で買ったのだが、いつもの悪い癖で家に帰るまで待てずに、地下鉄のホームで電車を待つ間読んでいたら。視線を感じた。そばの女子高生の集団が不審げに見ているではないか…この本、かなり堅い内容も書いてあるが表紙はオタク系の好きそう同人誌に見えなくも無い。「あのオッサン、絶対ロリコンよ!」「メイド喫茶とか行ってそう」「ヤダー気持ち悪い」こんな会話が聞こえてきそうだった。ちょっと悲しい…

 難解なことを分かった気にさせてくれる本というのは貴重である。
 素粒子量子テレポーテーション、光の正体、超ひも理論

 竹内薫氏は経験豊富、才能豊かな方なのでとっつきにくいことがどんどんイメージとして伝わってくるのがとても有り難い。

 量子力学の世界に関心があるのは宗教や哲学との符号がどうしても頭に浮かぶからである。
 本書にも書かれているように量子力学の世界には「色即是空」としかいいようのない感覚があるのである。これはまことに興味深い。

 原子核の周りを電子が周回する図が教科書などに見かけるが、本書に書かれている「確率的にしか捉えられない」電子の姿というのはまるで光のようであり、気のようであり、幽霊のようである。こんな存在が世界を、私達を形作っているのだと思うと不思議としかいいようがない。

 アマゾンには辛口のブックレビューも載っているが、やはりこの本一読して損は無いように思う。そして持ち歩くときはブックカバーを是非。