久々に「ゴッドファーザー」を観て

ゴッドファーザー コッポラ・リストレーション DVD BOX

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良い映画には力があると思う。しばらく前にコッポラの「ゴッドファーザー」を観て、そのことを痛感した。

俳優も脚本もセットも音楽もどれもいいのである。

冒頭の結婚式の場面は黒澤明の「悪い奴ほどよく眠る」の影響と言われる。
確かに結婚式を描くと登場人物を紹介できる。ただ、底抜けに明るい結婚式が行われる一方、密室では恐ろしげな相談が交わされる。

冒頭で私が好きなのはステージに上がった老人があっけらかんと卑猥な歌を歌うシーン。いかにもイタリア移民らしくて楽しい。

それにしても…

芸術性と娯楽性のバランスの良さ。

どこか物悲しく、哀感の漂う印象。

イタリアの寒村の質素だが、明るい陽光に満ちた様子。

暗い眼をしたアルパチーノが次第に変貌していく様子。

巨大なファミリーの衰亡と再生。

どれもどれも素晴らしい…

冒頭の結婚式の場面だけでなくマフィアの幹部連中が哄笑する場面とか、トマト畑の描写なども黒澤明的なものを感じる。

こんなことを書いていたら、今度は黒澤明の映画を観たくなった。やはり良い映画には力があるのだろう。