ルノアールは無邪気に微笑む

　出産で入院中の妻の病室に一泊した。

　生まれた直後は真っ白で、少し不気味で、不思議な生き物に見えた赤ん坊がたった数日で紛れもない“赤ちゃん”に変わりつつある。

　お盆はお寺の一番忙しい時期だが、お盆前というのもお盆の行事の準備があったり、来客や電話が頻繁にあったりして落ち着かない。病室で妻や赤ん坊と静かに過ごす時間は何とも心地よかった。正直言って帰りたくなかった（笑）

　
　病院のそばにブックオフがあったので表敬訪問した。

　世界的に活躍する画家千住博氏の書かれた「ルノワールは無邪気に微笑む」（朝日選書）を購入。

ルノワールは無邪気に微笑む―芸術的発想のすすめ (朝日新書)

　本書は朝日新聞の読者から千住氏に寄せられた80余りの質問に対する千住氏のユニークかつ、まっすぐな回答である。
　芸術とは何か、教育とは、経済とは、日本とは…回答の中から千住氏の個性と千住氏が人生を賭ける芸術の全体像が浮かび上がってくる。80問ほどの一問一答なので簡潔で読みやすく、いろいろ刺激を受けることができる。

例えば毎朝オフィスに一輪の花を飾るとします。それを見て、だれかが美しいと感じたら、すなわち飾ったひととの美を通したコミュニケーションです。実はこれで十分芸術なのです。（「はじめに」）

　千住氏が近代西洋美術の巨匠のベストワンに選ぶのはルノワールである。
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　そのルノワールの本質とは何かに答えを出すために一挙に200枚余りのルノワールの作品を鑑賞した感想が最後の質問への回答の中に書かれている。千住氏の眼前に浮かび上がってくるルノワールの本質とは…

　現代の超一流の画家が近代西洋美術の巨匠に挑んだこの一問一答だけでも本書を読む価値があるだろう。

　併せて漫画も一冊購入。。

FRONT MISSION DOG LIFE & DOG STYLE 3 (ヤングガンガンコミックス)

　こちらはモビルスーツタイプのロボットのリアルな戦闘の描写が惚れ惚れするほど素晴らしくてオススメである。

ルノアールと赤ん坊…ぴったりの取り合わせである。ブックオフで本を買うのにもその日その時の気持ちが反映するらしい。
今は赤ん坊の微笑みを時々思い出し、反芻して楽しんでいる。

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