禅宗の本格けんちん汁
【お坊様のレストラン】
お寺の本山の中には一般の方が読んで面白い出版物を発行しているところがあるし、お寺によっては本山から送られてきたそういった出版物を檀家さんに配布しているところもある。大抵はお寺の玄関に置いてあったりする。
もっともウチの本山では一般の方向けの冊子は出していないので布教のためにも是非そうした出版物を出してもらいたいと思っている。
臨済宗東福寺派のお坊さんに東福寺派の冊子を頂いて読んでみるといろいろ面白いことが書いてあった。
ただ困ったことに冊子の表題が達筆で書いてあって読めないのである。達筆というのも…
「東福寺の七不思議」などというのも書いてある。
そのなかには
百人が利用できるし東司(トイレ)
などというのもある。意味不明の大きさである…
お寺に凶事があると灯篭に浮き彫りされたフクロウが鳴く
なんか学校の怪談みたい…
もちろん本格的な法話とか仏教童話も載っているがそこはパラ読みして
最後のページに精進料理の特集があってそこだけ熱心に読んだ。禅宗には
「ちゃめけん、ちゃめこく」
という言葉があるそうである。
「茶飯にけんちん汁やこくしょう汁がよく合う」という意味らしい。
ここでいう茶飯というのはほうじ茶か番茶でご飯を炊くのだそうである。写真が載っているがとても美味しそう…
けんちん汁はよく知られているように残り物の野菜で作ったごった煮でしょう油味のもの。
こくしょう汁は同じく味噌味のものだそうである。
このコラムを書かれているのは八尾冶さんという精進料専門店のご主人である。
【八尾治】http://kyoto-shoujinryouri-yaoji.homepage.jp/
実は今日の晩御飯にけんちん汁を作ったのである。なんとなく奇遇である。
ここに書かれてあるお店のレシピを引用させて頂くことにする。
材料は大根、人参、牛蒡、こんにゃく、椎茸、蓮根、筍、豆腐、など5〜7種類。
食べやすい大きさに切り油でいためる。炒めることで汁の味にコクが出る。野菜がしんなりしたら昆布ダシを入れ弱火で煮る。小まめにアクを取り、けんちん汁は薄口醤油で、こくしょう汁は味噌で味付け。けんちん汁は最後にゴマ油をいれると香りがでる。こくしょう汁は赤味噌と白味噌を合わせると美味しい。
本格的な精進料理の専門店だけあってすごく美味しそうである。
山寺では最初に炒めるのもゴマ油を使う。ゴマ油を使って炒めるとやはり味にコクが出てダシを入れなくてもいいくらいである。もちろんちゃんとダシ汁を入れたほうが美味しいが。
それから豆腐と大根は必ず入れたいところである。私は煮込んだもめん豆腐が口の中でほろほろと崩れる感覚が特に好きである。
けんちん汁に茹でたうどんをいれたけんちんうどんも精進料理で出されることがあってこれもとてもおいしい。ちなみに今日作ったけんちん汁は最後に水溶きの片栗粉を入れて少しとろみをつけた。ごま油を使うので中華風のアレンジにも向くかもしれない。残り物を無駄なく使えるので是非一般の方にも広めたい料理である。
追記 冊子のタイトルは「恵日」と判明いたしました…
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