節分疲れと京都の鐘の謎

京都新聞観察日記】

昨日、節分の祈願祭が無事終了しました。

当山の節分はそんなに沢山お参りがあるわけではないのですが、準備や当日のお接待に時間も手間もかかります。
当日は同じ真言宗のご住職に助法(法要などに参加すること)して頂いて、午後からはこのご住職のお寺の節分祈願祭に助法に行きます。
節分は星祭という意味合いがあるのですが、こちらのお寺ではウチと違って星供護摩という本格的な護摩を焚かれますす。

この星供は中国の道教も入っている玄妙なものです。助法しながら本格的な修法を間近に見聞できるので大変に勉強になります。
(ちなみにウチのお接待はおぜんざいですが、こちらのお寺では小豆粥をふるまわれます。塩だけでお米と小豆を煮たとても胃に優しいお味。しみじみと美味しく頂きました。)

ここのお寺は建物の構造がL次型になっていて、せっかくのご住職の修法がお参りの方に十分見えません。去年、助法させて頂いた時に「せっかく本格的な修法をされるのに見えないのはもったいないですね」と言ったら、今年は本尊のそばにカメラがあってモニターで放映されていました。至れり尽くせりです。

このお寺の歴史や由来については大変に興味深い内容があるのですが、そのうち書かせて頂きたいと思っています。

取り合えずお彼岸までは大きな行事もないので昨日は疲れがドカッと出て少々ぐったりしました。

今日(平成22年2月4日)の京都新聞にはとても興味深い記事が載っていました。

よく映画やテレビドラマで京都の場面になると五重塔が遠景に見えて、鐘の音が「ゴーン」と響く…みたいなお約束の映像がありますね。

京都には沢山の鐘がありますが、この鐘の音が実は中国の五行思想に基づいて配置されていたのではないかという研究があるそうです。大阪市立大学中川真教授によれば東西南北と中央の五方に対応する5つの音階で鐘の音が決められていたというのです。

五行思想では森羅万象が木火土金水という5つの要素の相克と相生により生成、変化していると考えている。音律も5つあって、その5つが五方に対応している可能性が高いというのである。

調査された京都市内の約100口の梵鐘のうち25口でこの一致が認められたという。
つまり東に位置するお寺なら「ウチは東の音階で鐘を造ろう」という感じである。
調査対象には清水寺知恩院永観堂大徳寺神護寺西本願寺などそうそうたる寺院が含まれている。

平安京には音の設計という思想があり、理想世界を現すために、京都の五つの方角から五色の音階の鐘が響いていた可能性があるというのである。

今も京都に訪れる人は絶えないし、京都に行けばそれなりの京とらしさを味わうことはできる。
だがはるか昔の京都を想像する不思議な感慨が呼び覚まされることがある。御所も寺院も仏像も絢爛と輝いていて、美しい衣を纏った貴人達が牛車で行きかい、そこに五音の鐘が響いていた…夢のような美しさである。

平安時代というと不在地主であった貴族が醜い政争に明け暮れていたというイメージがあって、それも一面の真実だが、日本史の上でこれほど美というものが追究された時代もないのではないだろうかと思うことがある。
平安貴族の美意識と教養、知性の高さは驚嘆すべきものがあるように思う。

平安時代というものを通して日本人の美意識の高さがもう一度、再評価されてもいいように思うことがあるのである。

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村←いつもありがとうございます!節分でぐったり疲れた副住職に(笑)応援のクリックをポチッとおねがいします(^人^)