トライアスロン法要

広島の呉から車で小一時間ほどのところに倉橋島という風光明媚な島がある。毎年この倉橋島のお寺へ法要の手伝いに行っている。

今年は18日がお寺の大祭なので、前々日から現地に行き、前日はフルタイムで法要の準備である。境内、本堂、墓所などの掃除も手伝う。
当日は朝8時から4時間かけて山歩きである。

約5時間コースの八十八箇所めぐりが設けられていて、これを4時間ほどで走破する。参加者は約80名近い大所帯である。

アップダウンが大きく一旦平地に降りたかと思うとまた山に登るというのを三回繰り返す。最初に登って後は下るだけというに比べると、これは心理的にかなりキツイ。心が折れそうになる。一緒に歩いた小学生の男の子が最後は号泣していたのでちょっと可哀想になった。

私達僧侶7人は山伏の格好である。

修験の装束というのはあまり着ける機会がないので、私は袴を前後逆に装着してしまった…トイレ休憩の時に気がついたが、後の祭りである。今更脱ぐこともできないので仕方がないのでかなり特殊な方法で用を足してしまった…

八十八箇所めぐりが終わると本堂で法要がある。その後はさらに境内で柴燈護摩を焚き、参加者と一緒に火渡りも行う。

私は水払い、点火、宝弓という役である。宝弓というのは弓を射って結界を張る役である。
口上を述べるのでカンニングペーパーを読もうとしたら護摩の物凄い煙に包まれて視界がゼロになった。毎回、いろんなハプニングがある。

後片付けが終わるのは午後3時頃である。
前日の準備から始まって、当日は朝8時から3時まで行事が続く…ちょっとしたトライアスロン法要という感じである。(本当なら翌日は後片付けも手伝う)

大変なことは大変なのだが、私はこの行事を毎回楽しみにしている。
広島のお寺のご住職は本山の同期生である。毎回手伝いに行くのも同期生ばかりなのでちょっとした同窓会の雰囲気である。お寺の近くに桂浜温泉という絶品の温泉があり、その温泉で一日の疲れを癒すことができる。

ふだんは日本海を見て暮らしているが、瀬戸内海の海は鏡のように穏やかな水面なのである。そのことに毎回感動を覚える。

地元の方はとにかく人情に厚い。法要が終わるとエンドレスでお接待が続く。
「これ食べんしゃい」「あれ食べんしゃい」とお国言葉で勧めて下さるのでなかなか席を立てない。

いつもならさらにもう一泊して後片付けも手伝いのだが、地元の仏教会総会の準備のために法要当日に帰山した。

山寺に帰ったのは真夜中である。お風呂に入って気がついたのだがフクラハギがパンパンに張っている。足首もむくんで一回り大きくなっていた。日ごろの不摂生と言われればそれまでだが、ようやく山寺で疲れを癒すことができた。やれやれ…


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