世界で一番幸せな国になるために

本山である仁和寺から幾つかの書類が届いた。そのなかに「仁風」という冊子があった。
初めて見る雑誌だったが表紙があんまりイケてないのでちょっとがっかりである。

暇なときにパラ読みしていると、本山布教師の方20人あまりが寄稿されていた。
錚錚たる顔ぶれで本山のドリームチームといったところである。「おおっ!」と思って読んでみると内容も変化に富んでいて意外に?面白い。

この冊子は非売品なのでサワリをいくつかご紹介したいと思う。



「何が大事なのか」 大聖院 吉田正

吉田師が座主を務められる大聖院は宮島にある名刹として知られる。近年もダライラマを招聘するなど様々な活動を行っておられる。ちなみに私は長い間「安芸の宮島」を「秋の宮島」と勘違いしていた。宮島は秋が一番綺麗だと思っていたのである…


最近、日本への示唆を与える国としてブータンが取り上げられることが多い。
ブータンは仏教を国教とし、GNPといった経済的な価値基準ではなく国民総幸福こそが大事であると主張する国である。

吉田師がこのブータンの家庭でもてなしを受けた時に、その家庭に大きな仏間があり子供達が一生懸命に拝んでいたので通訳にその内容を尋ねると次のような答えが返ってきた。

「今、私たちが人間として生まれてきて幸せな生活をおくれているのも、前世の方が、しっかり拝み。善い行いをしてくれたからだと思うので、次の世代も人間として生まれて幸せな生活が出来ますように」

子供達が「人間として生まれてこれたことに感謝し、次の世代の幸せを考える」という生き方を真剣に祈っているというのは凄い…

吉田師が日本に帰って法事に行くと、その家の子供が席に着いていないのでのそわけを尋ねると一人は塾で一人はクラブ活動、一人は友達を遊びに言っていますといわれて愕然としたという。笑えない話である。

法事というのは子供たちに先祖への感謝を教える機会でもあるので、法事には是非子供たちも参加させてほしいと思う。

先日も最近亡くなった方の法事に行ったら、その家の子供たちが大人と一緒に一生懸命般若心経を唱えていた。子供の声は透明感があって素直でとても美しかったのを時々思い出す。

吉田師は次のように述べられる

ブータンの国では、便利なものは余りありませんが、自然を大事にし、家族、ご先祖様を大切にします。人に優しく、思いやりの溢れたブータンは、ほんの少し前の日本だったのではないかと思います。何処かで忘れてきた良き日本を思い出していただきたい。一人一人が、何が大切で、何を守らなければいけないのかをもう一度考えていただきたい。

最後に吉田師はダライラマ法王の言葉を引いて結びとされている。

「善き種を蒔き続けていきなさい」

【大聖院HP】http://www.galilei.ne.jp/daisyoin/

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