森慶太「乗れるクルマ 乗ってはいけないクルマ」

【山寺の本棚】

本日は地元の仏教会主催の花祭りである。
市内の大きなホールを借りて盛大に行われた。

今年はお寺の奥様方がペープサートという紙人形で劇を演じられた。
台本は事前録音してあってその音声に合わせて演じるのである。私には“たぬき”の役が当たった。

当日、大きなホールに自分の声がガンガン流れるのはかなり恥ずかしかったです。

「うさぎ君、ブタ君、一緒に行こうよ!」

とかやるわけですから…

おかげさまでペープサートは大好評で、私も少々安堵した次第である。


先日、法隆寺に作務衣姿で出かけて失敗したという話をブログに書いたら、それを読んだ同じ真言宗の先輩のお坊さんに忠告を受けた。

「そういう場合は、白の作務衣で出かけて、その上から改良服を羽織るといいですよ」と。
確かに白の作務衣の上に改良服を着れば違和感がないし、移動も楽である。やはり知らないというのは恐ろしい。そしていろいろ教えて頂けるというのは有難い。この方には時々ブログに書いた内容についてイジられたりするが(笑)、感謝感謝である。



15年以上乗り続けたカローラがゼイゼイ言いながら走るようになったので、軽自動車を購入することになった。自動車というのは全く関心の無い分野で、私は車名や車種など全く分からない。走っている車を見て車種を言い当てたりする人を見ると「この人は天才ではないだろうか」と思ってしまう。

集めたカタログの中にスズキのラパンという車が載っていた。

そう言えば槇村さとる氏の名作「美味しい関係」(←特に第一巻はメチャメチャ完成度が高い)にプチ・ラパンというレストランが出てきた…と思い出したら急にムラムラとネタ心が起こった。それだけの理由でこの車を買ってしまったら面白いのではないか…おまけにラパンのカタログを見ると薄いモスグリーンの車色があるではないか。

ファーストガンダム系ジオン派としてはモスグリーンというのは“ジオン色”である。
というわけでモスグリーンのラパンを購入することにした。自分で車を購入したのは初めてなのでちょっと楽しい経験である。


車を購入することになっていろんなHPや書籍を見る機会があった。
ブックオフで「乗れるクルマ 乗ってはいけないクルマ」という本を100円売りしていたので買ったら意外なほど面白い。

森慶太さんの文章は明快である。専門用語をあまり使わず、ユーザーの視点に立って読者が直感的にその車の特性を把握できるように書かれている。

最近はユーザーレビューを参考に商品を購入することが多くなった。これは昔はなかったことで、これからはユーザーレビューが消費の動向は左右するようになるかもしれない。

ただ車のような高額な商品についてはユーザーの経験値はどうしても低くなる。
森氏のように何百種という車に乗った経験のあるユーザーは稀だろう。
森氏は車にまつわる企業の熱意、企業の思惑、企業の失敗と成功をきっちり見抜き、俎板にあげている。その手さばきが見事である。

私は小林秀雄という批評家に心酔していた時期があったので批評というジャンルにとても関心がある。一時期、批評をかなり読んだが、この本は一級の批評だと感じた。

私は批評で大切なのは対象への愛情だと思っている。やたらと薀蓄を傾ける批評の中には薀蓄を傾けている自分自身が好きなだけで、対象への愛情も読者への親切も感じられない批評がある。
森氏の文章には溢れ出るような車への愛情が感じられる。

私は車については全くのド素人である。だから森氏の書いておられることが的を射ているかということについては確証はない。

ただ全く車に関心に無い人間が、その著書を読んで、実際に車に乗ってみようとか、車を買ってみようとか思わせるのはある意味凄いことである。車に関心の無かった私が森氏の本を読んでからちょっと車好きになったのである。

私もこうして駄文を綴っているが、仏教に関心に無い人が私の文章を読んで仏教に関心持ってもらえたらこんなに有難いことはないといつも思っている。

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