漫画家と人生と悟り

夕方から小雨。

久しぶりの雨になんだか地面が喜んでいるような気がする。
だが棚経中に台風に直撃されたらかなり悲惨なので少し心配。

昨日の夕方は雲の色がとても奇麗だった。
だが奇麗な彩雲も数分で形を変え、色彩を失ってしまう、その変化は造化の妙という他ない。


古書店で「絵で読む 般若心経」という2冊組の本を見つけた。

マンガというより、マンガ風のイラストが全ページにわたって書かれている。
パラ読みして、ひらめくものがあったので即買い。

絵で読む般若心経〈上巻〉色即是空篇

絵で読む般若心経〈上巻〉色即是空篇

絵で読む般若心経〈下巻〉般若波羅蜜多篇

絵で読む般若心経〈下巻〉般若波羅蜜多篇

作者である桑田次郎氏は50年代から60年代にかけて活躍されたマンガ家である。
代表作は「まぼろし探偵」「8マン」「月光仮面」など多数。
私より少し上の世代にはとても懐かしい漫画家のはずである。
8マン (第1巻) (Sunday comics)

8マン (第1巻) (Sunday comics)

42歳の厄年に少年漫画の世界を引退。
無常感を感じて、古今の宗教書を読破し、近年は「般若心経」「観音経」仏教などを題材にした漫画を多数刊行されている。
これまでも難解なテーマをやさしく伝える手段として漫画が使われることはあったが、こここで説かれているのは般若心経という<知識>ではないのが特徴。
般若心経をもとにした瞑想法、呼吸法、真言の深意などを自分の実体験と確信のもとに説いておられるのである。
なかなか説得力があります…

内容の一部には疑問のある部分もあるが、私なりにとても納得した内容や、思わず「そうだったのか!」と納得させられてしまう点も多い。


人生にはいろんな展開がある。
人生の後半生で全く違った事を始められるというのはかなり特別なパターンではないだろうか。

本書を読む限りではどちらかと言えば般若心経にヨーガ的な解釈がなされているように感じる。
手元に資料が無いが、日本のヨーガ研究の先駆的存在であった佐保多鶴治氏の般若心経の解釈と良く似ている気がする。

桑田氏は人生の前半生でいろんな体験を経験されている。
貧困、漫画家への転身、社会的な地位や名声の獲得…
それらを超えて宗教世界に至られるというのは素晴らしい生き方だと思う。
またそうした体験が現在の宗教の探求に一層の深みを与えているように思う。

宗教に向かうとは

ただ神社仏閣で願い事をすることではない
それはスタンプラリーのように霊場巡りをすることではない
宗教の本を沢山読んで知識を身につけることでもない


知識ではなく実践であること
実人生からの逃避ではないこと
自分の幸福以上のテーマを持つこと

が大事だと思う。

いいかえれば<捨てる生き方>といえるかもしれない。

『命を捨てざれば、命を得ず』

聖書にそんな言葉があった。少しニュアンスはちがうが…

読経したり、座禅することだけが宗教的行為ではない。
一生懸命トイレ掃除をすることも、
身の回りの物に感謝をすることも、
大嫌いな相手を赦すことだって立派な宗教的行為である。

サラリーマンであっても、
主婦であっても、
学生であっても

自分の心を見つめて仕事や日常生活に向かうとき求道の扉が開くのではないかと思っている。

そんな生き方を少しでも多くの人にして頂きたいと願っている。

ブログランキ

ング・にほんブログ村へ
にほんブログ村←丹後の山寺に住む副住職に応援のクリックをポチッとおねがいします(^人^)1クリックで1000番くらい全体の順位が変わりますので貴重な1票を宜しくお願いいたします!このブログの大半は個人的などーでもいい喜怒哀楽と雑事ですが、できればこのブログを通じて仏教やお寺というものに理解を深めて頂けたら…と思っております。ランキングの順位が上がるほどいろんな方に見ていただくチャンスが増えますので、ご協力頂ければ幸いに思います。合掌