万葉の “ことだま”,小林幸子,YOKOLIFE
夜8時から雨。
ずっと干天が続いたので雨音がとても心地よい。
地面は乾ききっていて、草刈り機を使うと白煙のような砂埃が舞い上がる。
弱った植木に水をやると水が音を立てて地面に吸い込まれていく。
草も木も地面もこの雨を喜んでいるに違いない…
いつもコメントを頂くみのり様から教えられて「万葉恋歌 ああ、君待つと」にハマってしまい毎日YOUTUBEで聴いている。とうとうDMMで小林幸子のCDも借りてしまった。
小林幸子氏の「万葉恋歌」は演歌独特の重たい感じと、小林氏独特のぶりぶりした感じが聴きなれると結構心地よい。私は節操が無いというか、何でもすぐ好きになるのである…
少し驚いたのはYOUTUBEにYOKOLIFEさんという方が「万葉恋歌」を歌っているご自身の映像をアップされていて、これが実にすばらしいのである。小林幸子氏よりキーを5つあげておられるが、とても清々しい声である。(YOKOLIFEさんの他の映像も素晴らしい…)
それにしても言葉の繊細なイメージや連想が実に心地良い。
小林版では冒頭に台詞が入る、この台詞だけからもいろんなイメージが湧く。
「万葉恋歌」の冒頭は額田王の歌である。
君待つと わが恋ひをれば わが屋戸の
すだれ動かし 秋の風吹く
(巻4・488 額田王)
…君を待つとて恋しく思っていると、
わが家のすだれを動かして秋風が音をたてる。
ここで「待つ」とは相手と約束があって待っているのか、それともやってきてくれたらいいのにという願望なのだろうか。
すだれが動くというのは自室ですだれの動く気配を感じているのか、自分の眼の前にすだれがあるのか。
春でも、夏でも、冬でもなく「秋の風」というのも哀感がある。
恋愛の持つ哀愁と、季節のもつ哀愁の響き。
それとももっと湧きあがるような恋愛の歌として、ドキドキするような期待感をこの歌から読み取らねばならないのか…
こんなことを考えて楽しんでいる私は相当の閑人である…(笑)
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万葉の歌が詠まれた頃の生活実感を私たちは持つことができなくなりつつある(そもそも平安時代ですら万葉の歌はきちんと理解できなかったようである)それでも恋愛や別離といった<情>の部分には多いに共感を覚えるし、この時代と同様の季節感のようなものもまだまだ私たちの中に残っている。
現代という、粗雑で、刺激が強くて、無機的な時代に慣らされた感覚には万葉の持つ季節感や心の細やかさがしみじみ心の深いところに響いてくる。
言霊というと良い言葉が良いことにつながり、悪い言葉が悪いことにつながるといった説明がされるが、恋愛を歌という言霊に載せることでその恋愛が成就するというような感覚もあったのではないだろうか。或いは歌の持つリズムや韻律そのものも言葉が生きているととらえられたのではないか(←ここらへんはいつも妄想です)
万葉集の言葉が現代に歌いつがれ感動を産むというのはこれもまた言霊(ことだま)なのではないかと思ったりする。
まだ当分「万葉恋歌」にハマりそうな予感がする…
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※ 歌詞と万葉集の出典については下記を参照にさせて頂きました。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1334772303