遺伝子は観音菩薩の夢をみるか

観音寺という山寺を兼務している。

暫く前に車で雪かきに行ったら、雪が多くて車が上まで行けなかった。
その後、さらに積雪があって歩いてお寺まで行くしかなくなってしまったと聞いた。

本日はどうしても雪かきがしたくなり、スコップを担いで歩いて山道を登ることにした。。
途中、用事ができた麓の総代さんのところに言ったら私の服装を見て、トラックで上まで上がると言いだした。絶対無理と思ったが、一本気な方なので仕方なく総代さんのトラックに乗る。

案の定、雪が多い。
トラックのエンジンが悲鳴を上げるような音を立てて走り、何度もスリップしながらようやく山寺に着くと唖然とするほどの雪。
計ってみると1メートル10センチあった。
山門前の斜面が雪に埋もれて階段の痕跡すらなくなっていた。


その様子を見て、総代氏は「住職、無理です、下りましょう」と主張。
本当は私一人残って雪かきしたい気分だったのだが、総代さんを巻き込んでしまったので忠告に従うことにした。
結局、観音寺の雪かきは2回目も挫折に終わった。

後から聞いた話では、総代氏は私を送った後で家族を連れて観音寺に戻り、雪かきをして下さったとのこと。
申し訳ないやら、有難いやら…



山寺に帰って車を降りると動物が裏山を歩く物音がした。
弘法大師を祀った小さなお堂の裏あたりで鳴き声がする。

近付くと小さなウリ坊が2匹のんびり斜面を登っていった。
慌てる風でもなく、ゆっくりと。空腹で体力が無いらしい…
最近、昼間でも鹿の声を聞くが、どうやら山にいよいよ食べ物が無くなって、動物達は昼間に餌をあさっているのではないかと感じた。ウリ坊のうち一匹は明らかに痩せていた。餌を求めて危険な日中に人里をさ迷う…とても哀れに感じた。




利己的な遺伝子 <増補新装版>

利己的な遺伝子 <増補新装版>

私達は遺伝子という利己的な存在を後代に伝えるために盲目的にプログラムされた存在であり、遺伝子の乗り物にすぎないというのがリチャード・ドーキンスの主張だが、村上和雄氏は全く反対の主張をされる。
アホは神の望み

アホは神の望み

遺伝子の中には利己的なものもあるが、譲り合いや助け合いをする遺伝子もあってそれら正反対の2種類がバランスよく機能することで生きているのだという。

オタマジャクシの尻尾はカエルになった時点で姿を消すが、成長につれて不要になった組織の細胞が自ら壊れる働きがある。
これはアポトーシスといって全体を生かすために一部が自己犠牲に甘んじるという働きである。
つまり遺伝子レベルで利己的、利他的という2種類の存在があるというのである。



20年以上前に筑波で開かれた国際科学技術博覧会に1本の苗から1万数千個の実をつける“お化けトマト”が展示された。
このトマトはバイオ技術を使ったものではなくて、ごく普通のトマトの種を育てたものだった。

村上氏はこのトマトを見た時に2つの感想を抱かれたという。

トマトですら人間の想像を超える能力を持っていて、その能力を開花させたり、阻害しているものを取り除くだけですごい力を発揮する。ならばトマトより遥かに精緻な人間ならなおさら大きな能力を発言できるだろうということ。

もう1点は、ではなぜ自然に育っているトマトがその力を発揮しないかというと、種の保存や環境の維持のために、その力を抑制しているのではないかと思われる。個が「生きすぎない」ことで全体としての調和や秩序を保っているという。「つつしみ」のような意思が自然にあるのではないか…

遺伝子の中の利他性、生命力を敢えて抑制するつつしみ…自然の中にはまだまだ私達の知らない世界がある。最先端の生命科学の中にも仏教に通じるものがあるというのはまことに不思議というほかない。
【告知 その1】

「生きがいの創造」シリーズの著者である飯田史彦先生の講演会を舞鶴で開催することが決定いましました。
期日は10月23日(日)。主催は舞鶴東仏教会です。詳細が決まりましたら、当ブログにて告知を行います。

[決定版]生きがいの創造

[決定版]生きがいの創造


【告知 その2】

2月3日午前10時より節分祈願祭が行われます。年に一度の本尊波切不動明王様ご開帳の機会です。(開帳は法要の間のみです)
祈願お申し込みはお早めに願います。(当日参拝できない方、遠方の方には後日、御札を送らせて頂きます)詳細はHPをご覧ください。http://ujimaccya69.hp.infoseek.co.jp/



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