ミツバツツジの寺にて法話 無縁社会は真実か
午前中に法事が一件。
お勤めの後、お墓参りするのが常だが、山手にあるお墓に続く細い田舎路を歩いていくと、フキノトウがいくつか眼に鮮やかな薄緑を覗かせていた。
午後からは綾部のR寺で法話。
婦人部の総会があり、その後、1時間15分法話してほしいという依頼を受けた。
普段、法話といっても10分くらいなので、1時間15分は長い。長すぎる…
何とか話を続けて45分くらいでものすごくキリのいい感じになったのだが、もともと1時間15分という持ち時間を頂いていたので無理矢理1時間まで話題を伸ばしたら木に竹を継いだみたいな話になった。話をするというのは難しい…
R寺の御住職によれば4月には無縁経(むえんぎょう)という行事があるのだそうである。
私はてっきり無縁仏の供養かと思ったら、無限の縁に対して読経するとのこと。
「無縁」とは縁が無いのではなくて限り無い縁のことだったのだ…
このことには少し驚いた。まだまだ勉強不足である…
同じ言葉でも仏教用語と日常語では意味が異なることがある。
「無学」というのは普通は<学問が無い>という意味で使うが仏教用語としては非常に高い境地にあることを指して<これ以上学ぶことが無い>という意味で使うことがある。
無縁という言葉は<縁が無い>という意味ももちろんあるが、調べてみると<誰のためというような対象の区別がなく、すべて平等であること。絶対の慈悲の境地>といった意味があることが分かった。
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先頃、NHKで「無縁社会」という番組が放映されて大きな反響をよんだ。
個人が孤独化しつつあることは間違いなく現代の一面だが、余りに荒涼とした描出に違和感を受けた方も多いようだ。
何より取材に応じた方々が意図的にネガティブな取り上げられたと反発されているとのこと。NHKが少し勇み足だったのだろう。最近のNHKは少し政治的な意図が見え隠れすることがあるが、大丈夫か…
御住職によれば無縁経ではその地に来た新しい御嫁さんが皆に紹介され、地域に溶けこんでいく姿が見られるとのこと。
仏事や法要というのは人を人の縁をつなぐとても大切な機会であり続けていたのだと実感した。
もうすぐ春になれば転居や就職や進学などで人が移動し、新たな縁が結ばれる。
今年の無縁経ではどんな縁が結ばれるのか。
初々しい若嫁さんが紹介される姿が眼に浮かぶような気がして心が和んだ。
R寺はミツバツツジの名所として知られる。
伽藍の前にある小高い丘陵に鮮やかなミツバツツジが咲き乱れ、広大な池にその色が映える様は正に浄土を思わせる。
花の時期になったら妻と娘を連れて訪れみたいと思っている。
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