猫の駅長さん お坊さん的結婚式の顛末
本山の修行仲間が結婚することになり披露宴に招待を受けた。
早朝、最寄り駅である松尾寺駅(JR小浜線)に着いて、無人の改札を抜けようとすると何やら気配が。改札のあたりにうずくまっている物体をよく見ると一匹の猫。
地元では松尾寺の猫の駅長さんとして知られる有名猫なのである。
松尾寺駅はかって舞鶴が軍港として栄えていた頃は貨物の取扱量が府下でも屈指であったとのこと。その駅も今では完全な無人駅となり、栄枯盛衰を感じる。
猫の駅長さんをみていると、頭のあたりに制帽が載っているような妄想が湧いた。
無人駅に猫の駅長とはなんとも味わい深い取り合わせである。
野良猫は短命だとも言われるがいつまでも健在で職務に精励して頂きたいものである。
結婚式は京都市内のホテルで行われた。
新郎が取ってくれたホテルにチックインして、念の為、忘れ物は無いかとチェック。
私は粗忽な性格で大事な場面で必ず忘れ物をするのである。そしてやっぱり忘れ物が…
“帽子”を忘れたのである。
仏教でいう帽子とは細長い白布のようなものである。
冬期はこれを首からマフラーのように掛けるのが冬の正装なのである。
恐らく元々は防寒頭巾として頭から被っていたのではないかと思われる。
それがいつの間にか現在の形になったようである。白いから汚さないとも限らないし、皺ができやすいし、所作の邪魔になるので私はあまり着用したくないのだが、正式な法要では夏でも着用が求められることもある。なかなか厄介な代物なので法要カバンに入れぱなしにしておいたのである。いきなりブルーに…
会場で受け付を澄ませると控室に案内されそうになるが、控室は遠目にもそれと分かる偉そうなお坊さんはがぎっしり。とても入れそうにない雰囲気である。ロビーに引き返すと片隅に同期生達を発見。皆同じようにここに集まったらしい
「赤系ですねえ」
「赤系です。入れませんね」
と自分達の立場を確認。
上席のお坊さんは緋色(鮮やかな赤色)の衣や袈裟を着用することが多いのでこう表現するわけである。
ようやく会場に入って辺りを見回すと、やっぱり本山のお歴々がズラッと。しかも隣のテーブルに。
新郎の祖父は大僧正にして総本山の顧問、父君も支所長、宗会議員等を歴任されているので顔が広いのである。門跡さんこそ来られていないが本山の要職が顔を揃えている。駆け出し僧侶の我々には縁の遠い世界である。
新郎からは友人代表のスピーチを頼まれていた。
友人代表のスピーチというのはアトラクション的位置づけだが、御目出度い席でアルコールは入り、会場は騒然。特にお坊さん方は顔が広いので歓談に次ぐ歓談の真っ最中。
はっきり言って誰も聞いてない状態である。その分気楽ではあるが。
新郎の修行僧時代の暴露ネタも披露しようかと思ったが、最前列のテーブルに本山の高僧方がひしめいているので全て割愛。
結婚式も全体に和やかで洗練されていてとても素晴らしいものだった。祝事とは良いものである。
無事スピーチを終えた後はひたすら同期生達と旧交を温めた。僅か一年とはいえ一緒に修行した仲間というのは格別である。懐かしい顔ぶれに出逢えたことは何より愉しかった。
『帽子なんて飾りです、偉い人にはそれが分からんのです』(←ガンネタ)
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