鎮魂のコブシ  100年後のお経の本?

東京では桜が満開とのこと。
当地では桜の満開には少し間があるが、コブシの花が満開を迎えた様子である。

コブシは山中に咲いていることが多く、遠眼には山の緑の中に小さな白色が点在しているようにみえる。桜と違って近くに寄って鑑賞するという花ではないが、冬枯れの山の中にコブシの白い色がぽつりぽつりと浮き上がっているのを見ると春の訪れを感じる。

今日も法事の帰り、山寺に向かって車で走っていると、なだらかな山の中腹から山頂にかかえて50から60のコブシが咲いているのが眼に止まった。余りの数の多さに少し胸が騒いだ。

車がその山の脇を通る時に気がついたのだが、その辺りは数年前に女子高生が殺害された山だった。
舞鶴女子高生殺人事件」として大々的に報道され、先日、結審したばかりだが、事件の凄惨さと、春のコブシの風情に不思議な違和感を覚えた。


もう一軒寄り路をして、懇意にして頂いている禅寺に出かけた。

ご住職は震災で被災された方々を励ます為のメッセージを寄せ書きにしておられて、私も一筆書かせて頂くことになったのである。ご住職は駅頭などに立ってメッセージを寄稿してもらわれるそうだが、99パーセント断られるとのこと。なかなかご苦労されている様子だった。

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ご住職にアマゾンのキンドルという電子書籍用デバイスを見せてもらった。

この端末で直接、アマゾンから電子書籍がダウンロードできて、接続料は不要なのだという。

最近のIT製品に全然ついていけないが、電子書籍とは当分縁がなさそうである。
本のずっしりした重みとか、古本の香りをかなりこよなく愛している。
キンドルに欠点はないのかと尋ねたら…


アメリカのアマゾンの電子書籍しかダウンロードできない」とのこと。
…どう考えても私には決定的に縁が無い(笑)


このご住職は翻訳されていない英語の宗教書をこれで買われるのだという。
辞書機能がついているので一々辞書を引かなくても原書が読めるので便利とのこと。
試読されているニューヨークタイムズも見せてもらったが、このご住職の勉強熱心には毎回圧倒される…

液晶の画面を長く見ていると疲れが溜まるが、キンドルはコピー原稿を読むくらいの輝度で眼には随分優しいように感じた。これには少し感心した。

このままどんどんペーパーレスの世界になっていくと100年後のお坊さんは経本の代わりにこうした端末を携帯して法事や法要の臨むような時代が来るかもしれない。何とも不思議な予感だ。

ご住職は結構、お笑い好きなので早速、最近ハマっている「戦国鍋TV」の情報を提供した。
同じ歳ということもあって仲良くして頂いているが、レベルが違いすぎるのが少々お恥ずかしい。