冬の鹿 川の音 「日本の仏教」
昨夕、逮夜のお勤めにでかけて山寺に帰山したのは7時半頃だった。
思いついて道路を挟んでむかいの駐車場に車を向けてみた。動物がいないかと思ったのである。何も見当たらないので帰ろうとしたら駐車場の出口付近に大きな雄鹿がのっそりと立っていた。
野生の動物に出くわすと大抵、こちらを凝視して、すぐに逃げることがない。
動物の習性なのか面白いと思う。
しばらく前に夜中に眼をさましたら遠くで鹿の鳴き声らしきものが頻りに聞えた。
あまり聞いたことのない声で「ヒュン…ヒュン…ヒュン…」と頼りなげに鳴いていて子供の鹿を想像した。
寒空の中で鳴く鹿の様子を思うと何とも切ない気がした。
地元の方に伺った話だが、鹿は高速道路の融雪剤を舐めるのだそうだ。
以前は鹿の何割かは塩分の不足から冬を越せずに死ぬものが多かったが、高速道路ができて、塩化カルシウムの融雪剤を使うようになってから鹿がその恩恵で生き残る割合が多くなったという。真偽のほどは不明だが興味深い話である。
紅葉もすっかり落葉したが、山茶花や寒椿が綺麗に咲いている。
大抵、花をどっさりつけていて、花の無い時期に眼を愉しませてくれる。
さざんか さざんか 咲いた道 たき火だ たき火だ 落ち葉だき…
忙しかった11月が過ぎ。参道には人影も無い。
山寺も落ち着きと静かさを取り戻し、また穏やかな時間が流れ初めていると感じる。
三重塔のあたりに薪を集めに行くと境内を流れる川の水音が聞えた。
11月には忙しくて川の水音すら聞こえなかったことに気がついた。
よほど心に余裕がなかったのだと苦笑せざるをえなかった。
- 作者: 渡辺照宏
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2002/06/12
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渡辺照宏「日本の仏教」(岩波書店)がブックオフオンラインから届いたのでパラ読み。
著者はインド哲学、仏教の研究者として独特の地歩を得た方で病身ながら多くの業績を残された。
初版は1958年なので半世紀以上も前に書かれたにもかかわらず、その鋭い指摘や博識にはうならされる。
日本の仏教について、どちらかといえば原理主義的な視点から批判されている部分が多い。
時々、浅薄な仏教批判を見かけるが、それらとはレベルの違う、実に深く鋭い問題意識を感じる。
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