長靴をはいた鬼 可楽「甲府」
朝方、少し晴間が覗いたと思う間もなくみぞれが降りはじめた。
本堂や三重塔に屋根に薄く積もった。
法要の1時間ほど前に本堂に上がり、準備の最終確認をしていると受付を手伝いにきてくださった信者さんが…
「和尚さん、(本堂の中に)ネズミのシッポが落ちてましたよ」
ネズミのシッポ…??
多分、「ネズミの捕食者」がいるのだろうが
私の知らないところで野生の世界が繰り広げられているらしい。
節分法要は平日なのでお参りは多くはなかったが
地元の方を中心に三々五々足をはこんできてくださった。
庫裏でお接待したおぜんざいも好評。
午後からは地元の真言宗寺院の節分法要に出仕。
午後3時に法要が終わり、美味しい小豆粥の接待をうける。
本日をもって11月の紅葉のシーズンから年始年末の年中行事と続く一連の忙しさから開放される。
3月の彼岸まで大きな行事もなく日程がゆるやかになる。
ようやく気持ちにゆとりがもてそうである。
幼稚園でも本日は節分があり、鬼がやってくる
数日前に娘が幼稚から帰ってくるなり
「職員室に鬼のお面が置いてあった」
と告げる娘。
お面が置いてあった=鬼はニセモノだ
という推理らしい…
以前は3匹も鬼がやってきたが今年は1匹である。
本日やってきた鬼の感想を尋ねると
「年寄りの皮膚がみえてた」
「眼が人間の眼だった」
「長靴を穿いてた」
とかなり喝破されている気配である…
年少さんの頃は本気で怖がっていたのだが。
昨晩、いつものように娘をお風呂にいれていると
急に真面目な顔で
「お父さん、心の鬼は退治したの?」
と尋ねる娘。
ドキリとして返答に窮し
「…いや…まだ退治できてない…」
と素で答えてしまった
思わず
「どうしたら退治できると思う?」
と尋ねると
「心を強くすると退治できるよ」
という答えが返ってきた。
相手は子供ながら別の何者かに諭された気分だった
まずは心の鬼を退治しないといけないのか…
それが節分の宿題であるらしい。
心の鬼を外に出せば、福は招かなくてもやってくるかもしれない。
【最近、気にいっているのは三笑亭可楽の落語。低いよく通る声で、人物の描出が素晴らしい。「甲府」は身を粉にして働く正直者が幸せになるという噺。この噺を聴くと楽して儲けるのが一番賢いという昨今の風潮がやはり間違いだと思える】
にほんブログ村←いつもご訪問ありがとうございます!
丹後の山寺の住職に応援のクリックをポチッとおねがいします(^人^)
.