阿弥陀様の涙 ヒョウタンの文化誌

 



知らない間に…




「日本仏像検定」なる資格ができていた。



ものすごくマニアックな問題がでるらしい(笑)



日本仏像検定A級を取得された政田マリさんの書かれた仏像探訪期を読んでいたら



【関連記事】https://kossmag.com/feature/hotokesama/hotokesama_01/



誓願寺阿弥陀如来像に関して書かれていて、水晶の入った玉眼が光を反射して、潤んだ瞳が慈愛を表しているように見える…と書いてあって少しドキドキとした。



当山にある快慶仏も玉眼だが激しい憤怒の表情なので、往時のロウソクのゆらめく灯かりでは眼光が鋭く光ったであろう…と想像していたのだが、同じ仏像の玉眼でも阿弥陀如来であれば慈愛の涙のように見えるという指摘に想像を掻き立てられるものがあった。









ヒョウタンといえば…



子供の頃読んだ「西遊記」に出てくる金角、銀角兄弟の持つ<人を吸い込むヒョウタン>とか…


西遊記〈上〉 (岩波少年文庫)

西遊記〈上〉 (岩波少年文庫)


ジャッキー・チェン演じる「ドランクモンキー酔拳」の酒の入れ物がかなりお約束的なヒョウタンだったとか…


酔拳 (字幕版)

酔拳 (字幕版)


手塚治虫の作品に出てくる“ヒョウタンツギ”とか…



ブッダ全12巻漫画文庫 (潮ビジュアル文庫)

ブッダ全12巻漫画文庫 (潮ビジュアル文庫)

“「ブッダ」ではブッダの最後の晩餐である毒キノコ料理がヒョウタンツギであるらしい”


忘れてならない志賀直哉の名品「清兵衛と瓢箪」とか…


清兵衛と瓢箪・網走まで (新潮文庫)

清兵衛と瓢箪・網走まで (新潮文庫)


地元の地誌についてかかれたものを読んだときにヒョウタンを祀った神社があると書かれてあった記憶があるが、ヒョウタンは霊力を持つとも考えられたという。





海を航行した人々にとってヒョウタンは貴重な水の容器であり、浮きにもなったと何かで読んだ記憶がある。



ヒョウタンの霊力』…




その先にもう少し何かありそうだ…




と思っていたのだが、密林にて「ヒョウタンの文化誌」という岩波新書を見つけて古書で購入。








植物民俗学という視点から世界中のヒョウタンの利用法、歴史などが書かれている。



深く掘り下げた記述ではないが、実に広がりのある内容。


ヒョウタンは最古の栽培植物のひとつである。
実に1万年以上の栽培の歴史があり、人類との関係を簡単に記すことは難しいだろう。




縄文時代草創期〜前期の遺跡である福井県の鳥浜貝塚からヒョウタンの遺物が発見された。



鳥浜貝塚三方五湖の周辺で当地にとってもご近所さんである。



鳥浜貝塚からは日本最古の丸木船(舞鶴で発見された“最古の丸木舟”と同時期のもの)や漆など興味ある遺物も発見されている。







よく紙の鍋で具財を煮る料理があるが、ヒョウタンも火にかけることができる。




著者の実験によればヒョウタンに水を入れて都市ガスの火で沸かすことも可能とのこと。




ヒョウタンを加熱用の容器として使う場合、粘土質の泥を表面に塗ると耐久性が増すが、ヒョウタンの器に粘土を塗った(あるいは偶然付着した?)ことが土器の始点になったのではないかと著者は推測している。




仏教と関わりでは日本で<宝珠>として表現されている意匠もそのもとは中国で生まれたヒョウタンだったものがあるという。



仏教では如意宝珠がよく出てくるが、これがヒョウタンに起源を持つ場合があるとは考えもしなかった…




ヒョウタンは中に空間を持ち、沢山の種子を持つ。



形状が丸みを帯びたヒョウタンは女性姓の象徴となり、縦長になると男性性の象徴となる。





この文章を書きながら考えていたのはヒョウタンは食用としてよりも中に中空をもつ構造から日常的な器や道具になり、その存在が日常化することで人間の様々な思考を刺激したのではないだろうかということである。



ではヒョウタン以外にこうした<中空の構造><容器性><空間性>を持つものはないか…と考えると、案外、貝や貝殻がこれに近いのではないかという気がする。



日本でも古代人は貝を常食したが、そのことは土器のような容器を製作するヒントになったのではないかという気がしてきた。



この本と前後して買った大島直行「月と蛇と縄文」(寿朗社)を読むのが愉しみになってきた。




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