トーハクにて運慶佛を拝す



大学時代の友人から久しぶりに連絡があり、卒業25周年記念の行事があるので上京してはどうかという。



25周年?そんなの聞いてない…




私にも通知が届いたはずだというのだが、大学から届いた通知を他のダイレクトメールと一緒に処分してしまったらしかった。





上京するとなるとお金も時間もかかるので躊躇していたのだが、上野の国立博物館で運慶展を開催中であることを思い出した。




旧交も温められ、運慶佛のお顔も拝めるなら…と上京を決心。




土曜日に上京し上野へ。




上野駅上野駅公園口を降りてすぐに国立西洋美術館がある。



国立西洋美術館http://www.nmwa.go.jp/jp/index.html




これまで一度も訪問したことがないので運慶展の前哨戦のつもりで足を運ぶ。




その日は常設展無料の日でちょっと得した気分。



門前にも錚々たる建築群が並ぶ。





ブールデル『弓をひくヘラクレス』】



館内は常設展でありながら展示品のレベルが高いという印象。





西洋絵画の知識は殆どないのだが、やはりモネやルノアールは良かった。















その後歩いて3分で東京国立博物館“トーハク”へ。




天候がやや不順だったせいか人出が少なく、土曜日にもかかわらず大きな混雑に巻き込まれずにゆっくりと運慶展を拝観することができた。これは実に嬉しい誤算。









運慶の仏像だけでなく、運慶の父である康慶や運慶の弟子たちの仏像も併せて展示され、どのように運慶の仏像が生まれたのか、またそれがどのように継承されていったのかが分かるように配置されている。



運慶佛の展示室の最後は四天王像と無著、世親の両像を配して興福寺の北円堂を再現している。




今回の展示の大トリといって良い。




無著に比べて若い世親が上を見ているのは意思の強さと理想を追う姿のように思える。



無著像はやや下を向くことによって年配者の落ち着きと、内省的な雰囲気が巧に表されているように思う。


この取り合わせが絶妙。




約2メートルの両像は、その大きさ以上の存在感があった。観るものを圧倒する何かがあった。





私は特に特に無著像に惹かれた。



興福寺HP】http://www.kohfukuji.com/property/cultural/111.html




世親はは僅かに左上を見上げ、無著は右斜め下を見下ろしている。



真下や真上ではなく、左上と右下なのは




両像が左右に安置された真ん中を人が通る動線になってるからだろう。



両像の間を通るものはその視線を感じることができる。




同じ空間にある四天王像も誠に素晴らしく、大きな体格の動き、手元の力強さ、甲冑、武器、表情それぞれに圧倒的な個性を露わにしている。



それに対して無著、世親の両像は服装も簡素な僧衣で、姿勢や持ち物で大きな違いを演出することが難しかったのだと推測される。



どうやって両像の違いを際立たせるかという模索から



その結果として視線の違いと、両像を徹底的にリアルに造形するという方向性が生まれたのかもしれない。










国立博物館も久しぶりなので常設展へ。



この常設展が…



手ごわい




日本の部だけでも古代、中世、近世現代と延々と展示が続く。





“どこかでみたことあるな”

とか


“これって有名なヤツだよね”



という展示品が無数に見つかるのである。




トーハクは収蔵品は11万点を超え、国宝、重文多数を含むのである。





意外なことに撮影禁止のキャプションの無いもの(殆どの展示品)は自由に写真撮影ができる。





日本以外にも中国、チベット、朝鮮、東南アジア…と展示は続く。




見ても…見ても…見ても…




展示室が限りなく限りなく続く…






4時間余りいて展示全体の6割ほどを見ただろうか。





眼福の一日でありました。




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