節分法要 鬼はいずこに
昨日は節分。
天候も大きく崩れることなく節分法要も無事に終わる。やれやれ…
当山にとっては大きな法要であるので準備も多岐にわたり、気持ちを張っての御祈祷というのは精神的に疲れるものがある。昨日は法要が終わってから昏々と眠った。
節分というのは暦の切り替わる特別な刻(とき)である。
その刻に神仏に願うことは運勢の転換に多いに利するものがあると思う。
願わくば多く方に神仏の力と智慧に預かって頂きたいと思う。
願いを叶えるのは神仏であり、私たちはその仲立ちをするだけにすぎない。法力というようなものは持ち合わせていない。
自分に資格があるのだろうか…というのは毎回悩むところではなる。
- 作者: 柴田弘武
- 出版社/メーカー: 彩流社
- 発売日: 2015/11/26
- メディア: オンデマンド (ペーパーバック)
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法要終われば読書。
ブックオフオンラインで購入の1冊が久々のビンゴである。
柴田弘武「鉄と俘囚の古代史 《増補版》 蝦夷「征伐」と別所」。
日本古代史において最大、最長の戦いであった蝦夷征伐とは何か?という疑問が出発点である。
東北に居た蝦夷と呼ばれる人々を中央が征伐したことは歴史の教科書にも記載されている史実である。
一般には野蛮な地方の部族を中央が平定したというくらいの認識にとどまるのではないだろうか。
本書によれば東北は先進的な鉄の生産地であり、大和朝廷の蝦夷征伐とは東北の鉱物資源(特に鉄資源)、製鉄技術、産鉄労働力の確保にあったという。
そして長期にわたる征伐の過程で捕虜となった蝦夷は国内各所に移送せしめられ、そこで産鉄や製鉄に携わった。全国に多数(一説に500以上とも)ある「別所」という地名はその配流された痕跡であるという。
捕虜となった多くの蝦夷が俘囚と呼ばれて各所に移送、移住せしめられた…
本書には多数の「別所」関連の地名が収められているが当地舞鶴にも5か所の関連地名が記載されている。
当地の地名に関しては「丹後の地名」というサイトの記載を参考にさせて頂いているが、そこに引用されている「舞鶴市史」によればやはりというべきか「舞鶴鉱山」という一項がある。
池内地区の別所、寺田、上根、白滝と、この地方一帯に分布する。鉱種は銀、銅、硫化鉄鉱であり、鉱床の走向はN五○〜六〇E、傾斜七度〜八度Sとある。鉱床の母岩は、輝緑岩ないし輝緑凝灰岩で、小規模な層状、合銅硫化鉄鉱床である。別所の暮谷(くれだに)坑、高油里坑を主として戦国末期から大正年代にかけて採掘していた。(「舞鶴市史」)
本書の指摘どおり別所という地名が鉱産に関わるという史実があるというのも興味深い。
この拙文にも何度か書いたが、鬼というの中央にまつろわぬ人々であり、不思議と鉄の生産に関わる要素を指摘されている。
当地に伝わる鬼の征伐とは勧善懲悪の御伽噺ではなく、地方で独立した暮らしをしていた一群の人々を中央が攻略した史実であり、その目的のひとつは鉄資源や製鉄に関わるものだったのではないか…
そのことと本書で指摘されていることはどうもつながりがあるのではないかという気がする。
節分の後の読書で思いがけず鬼にめぐりあったようである。
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