サルとの戦い

今日は檀家さんの年忌の法事
こちらでは家でのお勤めが終わった後、お墓参りするのが通例である。

お墓で読経していると、カサカサという落ち葉を踏む音が直ぐ前の山から響いてくる。
動物がお供え物を狙って来ているらしかった。猿が数匹というところか。
まだ昼の12時前である。山の動物にとってもう人間は怖い存在ではないらしい。

猿の被害は深刻である。
多い時で50匹から100匹の集団で畑の作物を襲う。一年間丹精を込めて育てた作物が一瞬のうちに無くなってしまう。

猿というと山から里に出てくると思いがちだが、人間の作った作物しか食べたことの無い世代の猿(私は「里ザル」と呼んでいる)が出始めている。人家周辺を徘徊して畑の作物を常食にしているのである。

畑を電気柵で囲うのはある程度は有効だが、そのコストと手間がバカにならない。
7段くらいの電線を張り巡らせた畑が侵入されたという話も聞く。

特にお年寄りが農業を続けていこうとしても電気柵などを設置するのが無理なので仕方なく農業を諦めたという話も多い。農業は生活の手段であるだけでなく、心の支えや喜びを与えてくれるものである。
サルに荒らされると分かっていても黙々と畑仕事をするお百姓さんも多い。田舎の人の忍耐強さや自然にゆだねて生きているいさぎよさのようなものを感じる。