心をリセット


数年前、山道を車で走っていて、視界に黄色いものが飛び込んできた。山の斜面全体が2メートル近くある背の高い、黄色い花のついた植物で覆われていたのだ。

セイタカアワダチソウというのがその植物の名前だった。
外来種だが繁殖力が凄まじい。根から農薬様の物質を分泌して他の植物を寄せ付けないとも聞いたことがある。一時期、休耕田や空き地はこの植物で覆われ、地域の風景が全てこの植物に覆われるのではないかと少し心配した。

ところがここ数年、この植物の繁殖が少し下降気味であるように感じる。
アワダチソウの性質が変わったのか、他の植物が何らかの対抗する力を持つようになったか定かではないが、以前より控えめな印象を受ける。強いから必ず勝つというのでもないところが面白い。

今日も法事の帰りの道端で、ススキの群生に混じって、背の高い、黄色の花が一緒に風に揺れていた。


山寺で暮らすようになって4年余りになる。

メールで近況報告をするとき、前書きに身近な自然や生き物のことを書いていたら、「ほっとする」とか「心がなごんだ」と本文とは関係のない部分がなぜか好評だった。

私も都会に10年以上暮らしたが、時折、この山寺に帰省して心が癒されたことを思い出す。

ささいな言葉から田舎の山寺の暮らしを想像してふと心を和ませてもらえればと思いこのブログを書いている。

もうひとつこのブログを書く理由がある。
それはこの時代の空気のようなものが不機嫌で、冷たく、危うく感じることが多い。
こうした空気はドミノ倒しのように伝わっていく。

こんな時代なのでお寺に来てもらった人に少しでもほっとしてもらえたらと思う。
檀家さんや参拝の方ともゆっくりお茶でも飲んで話しをしたいのもやまやまだが、山寺はのんびりしているようで意外に忙しい。忙しいといっても草刈や掃除が殆どだが、思いどうりのきめ細かい応対もなかなか難しい。

このブログを読んで心を和ませてもらえれば、或いは心をリセットできるような感覚を少しでも感じてもらえればいいなと思う。