岩盤浴より温まる…

空気が澄んで、日中の日差しが柔らかい感じになってくると秋が来たと思われる。

今年は柿が不作である。
それでも柿の木に鮮やかな色の柿の果実が下がっていて、とりわけワックスを塗ったように透明で、すべすべした柿の果実の表面に日差しが照りつけているのはなんとも見ていて心地良い。

私の住んでいる寺は秋から冬にかけてとにかく底冷えする。
ここで初めて暮らすようになった最初の冬、その寒さに閉口したことを今でもよく覚えている。


多くの女性がそうであるように、ウチの嫁は冷え症である。
その嫁がお寺で暮らすようになって喜んだものにお風呂がる。
ボイラーで温水が給湯できるだけでなく、薪でお湯を沸かすこともできる。大抵は薪で沸かす。

理由はよく分からないが薪で焚いたお湯に入ると不思議と身体が温まる。
「芯から温まる」という言葉がぴったりである。

もうひとつアイテムがある。檀家さんの作ってくれた炭窯で焼いた自家製の竹炭が沢山あり、これを木綿の袋に入れて浴槽に浮かべてある。この炭も何かの力があるらしい。

浴槽に浸かりながらこの竹炭の袋に触れてみると、明らかにお湯の温度より熱く感じられることがあって不思議である。

浴槽のお湯は翌日も温かいので、嫁は脚湯をして愉しんでいる。

寒い季節の山寺は大変だが楽しみもあるのである。