もみじ百態
昨日はわずかな時間だが山寺にあられが降った。近くの山のお寺の方に聞くとうっすら雪が積もったという。どうりで寒いはずである。
このあたり一帯は「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるほど天候が変わりやすい。
今日も晴れたり、曇ったりの天候で冷たい雨が降ったかと思うと急に晴れ間が見えた。
急激に温度が下がったほうがもみじの色は綺麗な赤に変わる。温度差の大きいことも紅葉の進む条件のようで、川に突き出した枝の色づきだけ著しかったりする。樹にも個性があって毎年必ず真っ赤に紅葉する樹もある。この地には樹齢200年を越すと考えられるもみじもあれば10年に満たない若木もあるので緑、黄色、赤、オレンジ、茶色といろんな色が参道を埋めている。
もみじは肥料の少ないほうが紅葉が美しいらしく、畑の横のもみじだけ色が悪いことがある。この辺りは土質が痩せていて、10センチも掘ると石灰岩のような石がごろごろ出てくる。こうした土地は畑には向かないが、もみじにはかえって良いようである。
雨に濡れたもみじが陽の光に照り映える姿は本当に美しい。
雨に打たれてもみじを見て帰る人もいればちょうど晴れ間の見えた時間に訪れる人もいて正に一期一会であると思う。綺麗なもみじを見てもらえるのはやはり嬉しい。
雨あがりなど遠くの山を見ると、白い霧のようなものがゆっくり立ち上るのが見える。
山全体からというより山のところどころから白い霧が立ち上り、風に流され、ゆっくり消えてく。
小倉百人一首の中に「霧たちのぼる秋の夕暮れ」という一句があったが、そんな光景を見ているとふとこの歌が思い出された。