魔法の鍋

    お坊様のレストラン

「ステンレス多層構造鍋」というのをご存知だろうか?

ア ルミニウムは<軽くて、熱伝導が良いが、腐食しやすい>という性質を持ち、一方、ステンレスは<熱伝導は劣るが、保温力が強く、丈夫で錆びにくい>という性質を持つ。この鍋はアルミでステンレスで包むことで熱伝導と保温力に優れた鍋になっている。

 初めに欠点を言っておくとやや値段が高いことと、重くて力の無い人には使いづらく感じるかもしれないことぐらいだろうか。

 ビタクラフトが代表的メーカーだが、かなりいいお値段である。最近は象印などが同様の商品を販売していてこちらはかなり安い。私は量販店などで買った5000円から1万円くらいのものを使っている。

 この鍋は耐久性があり長期間使える。手入れも簡単でステンレスたわしでこすって洗える。
 調理の幅が広く、焼く、炒める、揚げる、蒸すなど様々に使える。ご飯を炊いたり、余熱で調理することもできる。

 インゲン、ブロッコリー、アスパラガス、さやえんどう、マッシュルーム、ピーマンなど単体の野菜を蓋をして軽く蒸し焼きにしたものは最高に美味しい。こうしたシンプルな調理がこの鍋の真骨頂ではないかと思う。

 <美味しい>という味覚は実はいろんな要素でできているが、最小限の加熱が行われて栄養価が損なわれていない野菜の味というのはこれほど美味しいものだったのかと教えてくれたという点で私にとっては魔法の鍋といってよい。

 熱の周りが良いので蓋をして調理する時は過熱時間が過ぎると蒸しすぎた感じになってしまうのが注意すべき点である。

 具体的な使い方やレシピについては丸元淑生氏が沢山著書を出しておられるのでそれを見て頂きたい。最初に買うとしたら直径20センチくらいの片手鍋が一番使いやすいのではないだろうか。

 この鍋は熱伝導と保温力に優れるのでフライパンとして使って炒め物を作るととても重宝する。ただし浅いフライパン型のものしか市販されていないようなので、北京鍋風の底の深いステンレス多層構造鍋ができたら私は一番に買いたいと思っている。