原色小倉百人一首

「原色小倉百人一首」   鈴木日出男 山口慎一 依田泰  文英堂  

        お寺の本棚

この本がかなり売れてるらしい。私の買ったのはこの本の「朗詠CDつき」というバージョンで850円。CD無しは確か500円だったと思う。

はっきり言ってCDは期待はずれでした。日本かるた院本院理事長という偉い女性が朗読されているのですが、録音に緊張されているのかお声が妙に甲高く、全然イメージと違いました。残念です…

でもこの本自体はとても言いと思います。
語句や語法の丁寧な解説が付き、写真も豊富。
長く愛唱されてきたこれらの歌を味わって詠むには欠かせない知識が丁寧につづられています。当時とあまりにも風俗が違うので丁寧な解説なしにはこれらの歌を味わうことは難しい。その良きガイド役となってくれます。

山寺の自然の中に居るとふとこれらの歌の一節が頭に浮かぶことがある。

もみじの錦、秋の田、花の色、鳥のそらね、霧立ち、霜夜…

風俗と時代こそ変われど、自然は変わらない。そして多分、人の心の動きも。王朝の歌人の触れた自然の一端に自分も触れていると思うと、心がしみじみと澄んでいくような感覚が沸起こってくる。

 小倉百人一首は日本の言葉の文化の極みと言えるものである。言葉とイメージで織り上げられた織物のような存在である。
 特に、極めつけの奇説?はこの100首を縦横10首づつの正方形の並べた時にひとつの絵になるように作られているという説があることである。今、手元に資料がないので詳しく書けないがこれが事実とすれば正に日本だけでなく世界の言語文化にとっても貴重な財産であると思う。