雨の京都
御池で用事を済ませて京都駅に着くと雨が降りはじめた。
土曜なので人出は少なくないが、紅葉のシーズンは過ぎている。
駅の前に客待ちのタクシーが沢山並んでいて、そこに小雨が降っているのをしばらく見ていた。しっとりした小雨が寒い時期に降っているのは京都の風景に似合う気がする。
駅前にある京都タワーは建設された当初、大変な不評だったという。
京都弁に「もっさりした」という言葉がある。垢抜けないというほどの意味だが、蝋燭立てを模したというこの建物の概観はいかにも「もっさり」している。(グレゴリ青山の「しぶちん京都」の京都タワーのくだりは最高に面白い)
それでも何時の間にか、列車が京都駅に着いてこの塔が列車の窓から見えると京都に着いたという実感が湧くから不思議である。見慣れるということは私達に安心をもたらすものであるらしい。
その点、今の駅ビルはいかにもという現代建築で何の共感も湧かない。
樋口監督の「ガメラ3」でこの駅ビルが豪快に壊されたのを見て胸がすっとした(笑)
京都駅前にガメラの銅像を建てたいくらいである。
近鉄百貨店の後にヨドバシカメラができ、他にもビッグカメラ、ソフマップと家電関係の大店舗が次々と展開していく。便利かもしれないが、京都風には「味もしゃしゃりもない」光景である。
どうせなら駅前の観光デパートも郵便局の本局もホテル群もみんな瓦葺の白壁にしたらどんなに統一感があるかと思う。もちろんパチンコ屋とかスタバとかTBCなどは禁止である(笑)或いは駅をもう少し北に動かして駅の中央改札を抜けたら眼の前が東本願寺の巨大な伽藍だったりしたら面白い。
雑然とした町並みを見て心が落ち着く人はいないだろう。
私が雨の降る駅前の光景に惹かれたのは、なんとなく辺りの光景がぼんやりした感じになり駅周辺の落ち着かない感じが少し和らいだからかもしれない。
追記
晩ご飯は京都劇場方面のイタリアンで食べた。味は悪くないが量が少なかった。
伊勢丹のレストラン街に「点心茶室」という中華があり、ここの海老蒸し餃子は最高に美味しい。具に入っている海老と筍の取り合わせが絶妙である。
また同じフロアに「アンティ・カフェ」というイタリアンがありここのパスタとピザはボリュームがあり味もなかなかである。特にピザは美味しいと思う。