「戦国の堅城」にハマる日々


今更言うまでもないが、黒澤明の「七人の侍」は間違なく映画史上に残る傑作であろう。

単に一対一の対決だけでなく、村落を城砦にした農民+侍対野武士という異質な集団の攻防が徹底的に描かれているからである。
凄いと思うのは農民が悪い野武士に搾取される弱者でそれを正義派の武士が助けるという単純な図式を取っていないことである。「農民て奴はずるくて、臆病で…」という三船敏郎のセリフにあるように逞しい農民こそが勝者であるという結論は説得力がある。
 
 同じく黒澤明の「影武者」も素晴らしい映画だが、武田の騎馬軍団が織田勢の鉄砲の連射の前にあっけなく敗北するというシーンはどうも史実に反するようである。
 
 先日買った「戦国の堅城」(学習研究社)を未だに手元に置いて、時々楽しんでいる。
 徹底的に考え抜かれた当時の攻防の技術を読んでいると、信長が斬新なアイディアで鉄砲隊を運用したとというこれまでの説が途端に嘘っぽく感じられる。

 何より「戦国の堅城」によれば、武田氏は後北条氏と並んで築城技術に秀でていたとされる。城砦や銃撃を駆使した攻防は知り尽くしていたと考えるべきであろう。
 長篠城はわずか500人の城兵が21000人の精強な武田勢相手に21日間の攻防を行ったという。

 一体、どうしてそんなことが可能だったのか…

 そんな推理をしはじめたら止まらない。最近すっかり「戦国の堅城」にハマっている…