器械の身体


 

 兼務している山寺を見回りに行って車で走っていると道路脇の山の斜面に何かが動いている。そこはお墓を作るために山の斜面にある雑木や竹を切り倒して、とても見通しのいい斜面なのだが、その斜面に猿が何十匹もいる!

 冬枯れの斜面の色と猿の毛の色はよく似ているが、猿は顔とお尻が赤いのでその赤さが異様に目立つ。斜面の下にある畑を目指して群れが移動しているのだが、そこは檀家さんの畑なので、知らぬ顔もできない。念のため座席に積んであったスコップを持って畑に行くとしぶしぶという感じでゆっくり逃げ始めた。一目散に逃げないところが腹が立つ…



子供の頃から本当にアニメをよく見た記憶がある。

最近はアニメの質も向上し、日本は世界一のアニメ大国になった。昔のアニメを見るとその雑な感じがついつい眼についてしまう。それでも昔のアニメにはそれぞれ強烈な個性があった気がする。「妖怪人間ベム」「天才バカボン」「リボンの騎士」「ハクション大魔王」…数え上げたらキリがない。


松本零士原作の「銀河鉄道999」というアニメがあった。

主人公の目的は長い旅の果てに決して死なない器械の体を手に入れることだった。
ところが主人公は自分にその器械の体が手に入るという時になって愕然とする事実に気付く。

器械の体を手に入れた者達は、ただ酒や女におぼれ享楽的になるかと思うと、生身の人間を見下し、或いは、生きることに疲れはて次々に自殺していくのである。それを見た主人公は有限の生の素晴らしさに気付く…随分、昔に見たアニメなので細かいところは自信がないが多分、こんな内容だった。


私達は死ぬことをを恐れるが、もし私達が決して死なないとしたら、今度は行き続けることがとても大きな苦痛と感じられるようになるだろう。生と死というのは人間にとって永遠のテーマだがもし人間が死なないと仮定して考えてみることも必要だろう。


      人、死を憎まば生を愛すべし    「徒然草



         【クイズの答え】

   切り紙で作られたのは警察の白バイが坂道(勾配)を登って行く絵柄でした。
「白バイ勾配」の絵です(笑)さすが一風斎さんなかなか鋭いお答えでした。