バザラにホレた! 天平の新たかな色

burogubou2008-02-12

【お寺の本棚】

「バザラにホレた!−新薬師寺十二神将彩色再現ものがたり」
(DIGITAL WONDER ARCHIVE BOOKS)



薬師如来という仏様は十二神将というお供に護られていることが多い。

数ある十二神将像のなかで最も有名なものは奈良の新薬師寺のもので、天平時代に造られた。
バザラ(伐折羅大将)というのは十二体の像のうち代表的なもので500円切手の図案にもなっている。但し現存する十二神将像には殆ど色彩が残っていない…
本書は十二神将像の色彩の再現を試みるドキュメンタリー番組をもとに書かれたものだが、レーザー計測など最新の技術で復元された十二神将像の絢爛な色彩がスゴイ!仏像の持つイメージが新たになる本である。

ちなみに新薬師寺の「新」とは新しいという意味ではなく「霊験が新(あらたか)か」という意味である。

ウチのお寺に執金剛神という仏様があるが、この仏像を説明する時はたいてい本書に載っている復元されたCG画像を見ていただき、仏像が作られた当時の色彩に思いをはせて頂くことにしている。

仏像というと古色蒼然というイメージがあるし、お寺というと年配の方が古いものを求めて出かけると思われがちでだが、昔の寺院は広大な自然の中に突如として出現する、人工的でエキゾチックで最先端な施設だったのかもしれない。きっとお年寄りよりも若い人が魅かれたのではなかという気がする。そんなことを想像するのも愉しい。

何年前に、いとうせいこうさんとみうらじゅんさんが「見仏記」というテレビ番組の取材で山寺にこられた。その後「見仏記」を観て来たといって拝観に来られる若い方を時々見かける。確かに、最近は若い方が仏像の拝観にこられることが多い。

仏像には古くて新しい魅力があるのかもしれない。