禅寺のお昼ごはん
昨日、友人の禅僧を迎えに行ったときにまずびっくりしたのは外国人が居たことである。
中国、韓国、ポーランド、アメリカ、ドイツ…80を越えるご高齢の老僧がこのお寺におられその方の人柄をしたって全国はもとより、海外からもこのお寺に禅を学びにくるのだという。
考えてみればすごい事である。
普段、三軒の山寺をどう維持していくかでちまちまと頭を悩ましている私にとって、人徳を慕って大勢の人が集まってくるというのは夢のような話である。
禅寺の方に一緒に昼食を食べていくように勧められた。
日本人とポーランド人のお坊さんの作るお昼ご飯と聞いてどうしても食べたくなった。
私達の宗派でも昼食にはいろいろな作法に従って食べるが、禅宗の作法については全く知らない。興味津々である。それと多少の不安も。
ご飯は焚きたての玄米。昆布でダシを取ったらしい汁物。おかずが2品に漬物。
お寺には全く火の気が無く、昼間でもしんしんと冷える感じがする。焚きたての玄米から湧き上がる湯気が美味しそうである。玄米は良く噛むと甘い味がして体に沁みるような味である。(後で聞くと食材は殆ど自給自足であるとのことだった。)
綺麗な青い色の野菜をドレッシングであえたものを食べていて、途中でそれがわかめであることに気付いた。とても鮮やかな色で新物らしかった。全く生臭くない。
おそらくポーランドの方が作ったであろう一品は、なんと言うか、容赦なく現地の味という気がした。不思議なスパイスの味がする。
用心してご飯もおかずも少なめによそったのが正解だった。
最初にお経を唱える以外はみな手早く食べていく。普段からゆっくり味わって食べる私は一番食べ終わるのが遅かった。
最後に使った器にお湯を注いで沢庵でぬぐうようにして器を清め、そのお湯も飲む。全く無駄が無い。
美味しくて、そして身の引き締まるような体験だった。