風の音 鳥の声
昨日は兼務している山寺へ出かけた。
現在、三軒の山寺を兼務しているがこのお寺が最も僻地にある。
三キロほどの山道は狭くて車が対向できないので、出かけるときは上から車が降りてこないか常に心配である。行く途中に檀家さんの家に寄ったらナバナ(菜花?)という野菜をもらった。菜の花そっくりなので多分、その仲間なのだろう。
お彼岸前なので、歴代住職のお墓の掃除に出かけたのだが、行ってみると、陽が当らない場所なので、殆ど雪に覆われていて掃除は無理と分かった。
境内の周りの電気柵の点検に行くと、こちらも日陰は雪に覆われている。
誰も居ない境内に細長い石の角柱が置いてあって、ベンチ代わりになっている。
境内は殆どの雪が溶けて、茶色い、冬枯れの地面が顔を出している。
春らしい一日だった。
だれも居ない境内には絶えず鳥の声がしていた。
よく耳を澄ますとウグイスの声が聞こえる。
今年初めて聞いたウグイスの鳴き声である。
この山寺は鳥の種類が多く、座っていると、いろんな鳥の声が聞こえる。
啄木鳥(キツツキ)が木の幹をついばむ乾いた音も。
時々、鳥が地面や木の幹に舞い降りて虫を食べている。その羽音も気持ちがよい。
一度だけ飛行機が頭上を通ったが、それ以外は風の音と鳥の声しかしない。
風の音で木々が揺れると、ごーっという川の水音のようにも聞こえるから不思議だ。
お昼ご飯におにぎりを持って来ていたので、境内に腰掛けて食べ、またしばらく風の音や鳥の声を聞いていた。
魂が抜け出して、鳥と戯れているように感じた。
貰ったナバナを家に帰っておひたしにした。
ナバナは熱を加えると鮮やかな黄緑になって、春の味がした。