椎茸の春

【お坊様のレストラン】


山寺の春や佛に水仙花     也有

「寒の戻り」や「花冷え」という言葉には情趣を感じるが、自分がその寒さを感じる場合には別の問題がある。未だにストーブが重宝している。
 昨日から天候が不順で、朝から雨が降っていたが、9時頃になって急に雨足が強くなって、庫裏や倉庫の屋根を叩く音が激しくなったと思ったら霰(あられ)が降り始めた。
 また少し春が遠のいた気がする…

 この時期の味覚に椎茸がある。
 原木に菌を植えておくと、春と秋の2回収穫できる。

 今年、最初に食べた椎茸は檀家さんに頂いたものを天ぷらにした。天ぷらにすると野菜の味が濃くなる感じがするが、椎茸の旨みがぎゅぎゅっと凝縮された感じになる。グラタンに入れたのも美味しかった。ジャガイモと青梗菜のグラタンが我が家の定番なのだが、入っているのを知らずにフォークで一刺ししたら大きな椎茸の塊が出てきて、ちょっと驚いたが、ホワイトソースと椎茸はとても良く合った。

 数日前はお寺の境内で獲れたばかりの椎茸を頂いた。
 毎月、お寺の掃除を手伝いに来て下さる奇特な檀家さんが居られて、家族同然の付き合いので一緒に食事をすることがある。

 ビタクラフトの鍋で荒く切った椎茸を蒸し焼きにして、ポン酢をかけて出した。
 この檀家さん一口食べてよほど美味しかったのか

          「むほぉおおお!」

 というような意味不明の声を出した(笑)ちよっと「美味しんぼ」の世界である。

 昨日は別の檀家さんからも頂いたので、軽く蒸し焼きにした後、醤油とバター少々をおとしてステーキ風にしようと思った。念のため妻にポン酢と醤油バターとどちらがいいか聞くと

    「両方!」

と即答…

ビタクラフトのフライパンで蒸し焼きにした後、半分を取り出し、残りに醤油とバター少々を入れて軽く焼いた。味見すると少し味が薄かったので塩コショウを一振り。鍋からさらに移すと湯気が立つ。寒い時期は湯気もご馳走のうちである。噛み締めるとじゅわーっと肉汁ならぬ茸汁が口いっぱいに広がる…これもまた山寺の贅沢かもしれない。(蒸し焼きにする時は加熱しすぎに注意。加熱しすぎた時は蓋をはずした状態でしばらく加熱して水分を減らすと良いみたいです)

取れたての椎茸が食べられるのも2週間ほどである。境内の椎茸もあと一回くらい収穫したらおしまいである。
次はどうやって食べるか思案中である…