仁王門の跡

burogubou2008-04-03

冬枯れのもみじに小さい紅色のつぼみが沢山付くようになった。

大方の人はもみじの花というのをご存知ないだろう。
花というよりおしべかめしべだけのような感じで人に愛でられるような花ではない。
この花の時期が終わるといよいよ新緑である。私は新緑のもみじが一番好きなので待ちどおしい。
フキノトウでも花が開いた姿より、新芽の頃が好きである。
椿もやはり開いた姿より、つぼみが好きである。
単なる好みの問題かもしれないが、つぼみや新芽には満身で力を溜めているような不思議な魅力を感じる。


お寺の横には小さな川が流れている。
今は護岸工事がされているが、昔は氾濫することが多かったそうである。
山門から少し下った川沿いに石碑が3体並んで建っている。
そこはかってお寺の仁王門が建っていたとされる場所である。
明治時代に大水害があり、仁王門が遥か彼方まで流されてしまったそうである。
田んぼの泥の中から仁王さんの腕がにょっきり突き出していたので掘り起こされ、大八車でお寺に戻されたそうである。

今日、その山門跡に行くと、誰がお供えしてくださったのか菜の花が備えてあった。
刻まれた文字も読みにくいような古びた石碑だが、菜の花が供えてある様子は微笑ましかった。

        
           菜の花に 南無阿弥陀仏 仁王門