雨の三室戸寺


 田舎は同姓の家が多い。

 そのため、屋号でお互いを呼び合うことが多い。
 屋号というのは大抵、何代か前の先祖の名前である。

   五郎左衛門、吉兵衛、太郎左衛門、曾五郎などなど

 従って会話の中で

 「昨日、曾五郎と吉兵衛の家へ行った」

 とか聞くといつの時代かと思ってしまう…
 檀家さんの名前だけでなく、この屋号もセットで覚えなければならないので結構大変である…

 今日は檀家さんと一緒に宇治の三室戸寺へいった。

 境内にはミツバツツジや桜が咲いていた。
 ここはアジサイで有名なお寺で1万株はあるとされる。
 他にもツツジ2万株、石楠花1千本、蓮100種類など花木の多いので有名なお寺である。

 本日はあいにく小雨の天候だったが、灰色の茎からアジサイの新芽が一斉に出ていて、そこに雨の降る風情もなかなか美しかった。
  
 帰り道にはあちこちに茶畑があって、宇治にいることが実感された。
 お寺で頂いたパンフレットには芭蕉の俳句が書いてあった。

       山吹や宇治の焙炉(ほいろ)のにほふ時            芭蕉