奈良にて


本日は奈良にある当麻寺西南院(たいまでらさいないん)で法要があったので出仕した。

西南院は「さいなんいん」ではなく「さいないん」と読むらしい。
南風のことを「なばえ」と言ったりするから。南を「な」と読むのもありかもしれない。

とにかく立派なお寺で圧倒された。建築物と文化財の数々は見事だった。

住職のお話では明治の廃仏毀釈と戦後の農地解放で大打撃を受けたということだった。
それはおそらくどこのお寺でも同じだと思う。

廃仏毀釈では多くの仏像が失われただけでなく、経典が焼かれ、お坊さんが殺されたり、お寺が焼かれたもしたというからかなり過激なものであったという。
お寺は土地を収入源としていることが多かったが農地解放で土地の大半を失ったお寺の多くは一気に貧しくなった…お寺というと裕福に思っている方が多いが実際はなかなか大変である。

 西南寺もそれまでの収入源を絶たれ、本堂の再建に40年か掛かったという。
 ウチのお寺も住職が赴任した時は本堂の屋根に穴が開いてビニールシートが掛けられ、本堂の中は埃がたまって長靴を履いて入ったという。
 お寺の建築物と文化財を維持していくのは大抵のことではない。

 先日も廃寺になったお寺から流出した運慶作の仏像が海外で競売にかけられたが、お寺が廃絶するとたちまちにして文化財が散逸してしまう。
 その意味でもお寺を守っていくことはとても意味のあることだと思っている。