世界に響きあり

いよいよ草刈りの季節である。これから延々と草刈りが続く…

今日は草刈機を使って5時間くらい行ったが、昔は鎌一丁で行っていたのだから気が遠くなるような話である。連日、晴天が続いているが、夏日といっても日差しがそれほど強くないので、作業のはかどるのが有難い。

昨日、<腹>の力について書いたが、そういえば、幼児のお腹はぽっこりふくらんでいることが多い。案外、<腹>の力と関係あるかもしれないと思う。

6,7年前だが、気功家の山口令子先生※に習った立功という気功を暫く熱心に独習していた時期がある。腕を前に出して、腰を落として、じっと静止する。型はただそれだけである。一見シンプルだが、奥が深い。中国武術ではさらに腰を落とした<馬歩>という型が基本功(本質的な武術の力を養うための基礎トレーニング)である場合も多い。

この型はいゆる「空気椅子」というのに近く。かなりキツイ。
私は志ん生の落語のテープを聴きながら楽しくやっていた。
ある日、お風呂に入って気がつくとお腹がぱんぱんに張っている!
不気味なくらいである…私は即座に中年太りかと思った(笑)それと前後して立功を中断したら、お腹 の張ったのが収まり、再開したら、またお腹が張ってきた。
ようやく、立功とお腹のふくらみの関係に気付いた。
やはり気功というのはきちんとやると生命力を養うのに有効かもしれないと思った貴重な体験である。

発声法で悩んだことを昨日書いた。
発声法の本がいろいろ出ているが、信じられないくらい内容がまちまちである。
例えばハミングを推奨している人がいるかと思えば、ハミングは良くないという人もいる
どっちやねん!とツッコミたくなる…
発声法の本をいろいろ読んだが、取り合えず勉強になったと思うのは次の2冊


・「ヴォイステクニックの真実」  加瀬メソッド発声・基礎編  演劇ぶっく社 
(本山にも持っていった本。ヨガ系の身体作りを基礎にした発声法)

  ・「奇跡のボイストレーニングBOOK (CD付)」 弓場 徹  主婦の友社 2300円
(CD付きで具体的な指導が体験できる。独自の発声法と「歌う筋肉」の重要性を説いている。)


 加瀬氏によれば5つの母音は身体に響く場所が違うという。
私自身、実習していてもうひとつピンとこないこともあるのだが、面白い指摘だと思う。


さて、ここでちょっとだけ飛躍。

仏教には五大という概念がある。
地・水・火・風・空という5つの元素(五大)が宇宙を構成していると考える。
これについて真言宗の宗祖空海は興味深い言葉を残しておられる

「五大に皆響きあり」である。五大を地・水・火・風・空で構成されるもの、すなわち森羅万象と解いて、この言葉の意味は森羅万象に響きがあると解説される場合もあるが、地・水・火・風・空にそれぞれ固有の響きがあるとも解釈できるように思う。
これは5つの母音に対応していると当てはめて考えると面白いと思う。

仏教では声明という宗教音楽があるが、これは母音を駆使した発生法が中心である。しかも真言宗の声明は空海がもたらしたというのが定説である。(私は本山では声明劣等生で今だにとても苦労しています…)
なんとなくつながってこないだろうか?


最近、やたらと「波動」という言葉を使う人がいる。「いい波動の出てる水」とかである(笑)、正直、私はついていけないのだが、この「五大に皆響きあり」という言葉は時々反芻している。とてもスケールが大きく、空海という偉大な方の大きさが伝わってくる。文字どうり心に響く言葉である。

時々、そんな妄想にとらわれながら声明を歌っている。

  ※ 山口令子

「気には無限の力がある」(三笠書房)によって日本で始めて本格的な気功を紹介。

 ジャーナリストとしても活躍。著書多数。

    気の世界 アイズワイズ気功教室    http://www.kinosekai.jp/