掃除道プチ体験
【５日にHPを更新しました。宜しければ御笑覧下さいませ
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ここ何年か掃除する夢をよく見る。
自分の潜在意識の変化と関係ある気がして面白いことだと思っている。
今日は、午前中かけてトイレ掃除を体験してみた。
そのきっかけは以前読んだ鍵山秀三郎さんの「掃除道」(PHP研究所)という本である。
鍵山氏は自動車用品店「イエローハット」を創業して、事業家として成功されたが、その苦労は並大抵ではなかったそうである。最初は「人間扱いされない」ような厳しい下積み生活から出発されたそうである。
鍵山氏はトイレをはじめとする＜掃除＞を徹底して行うことを実践されている。
近年は「日本を美しくする会」※を立ち上げられ、日本だけでなく世界中に掃除道を広げられている。
その過程で、荒れていた学校の再生したり、会社経営を建て直すなどなど、人間形成やビジネスにも大きな成果をあげておられる。
この経緯は桜井章一氏と麻雀の関係にも似ている。
麻雀やトイレ掃除が人間教育に通じるというと一見、奇異な感じがするが、どんなことでも真剣にやろうとすればそこにその人の人間性が出てくる。
これは極めて大切な点だと思う。
そもそも、普通の人はトイレ掃除を真剣にやろうとは思わない。
やりたくないこと、汚いとおもっていることに飛び込んでいくというのはその人を変えるきっかけになるのではないかと思う。
仏教風に言うなら「発心」(ほっしん)ということになるだろう。
今日は、兼務しているお寺へ掃除に行った。
長年、きちんと掃除していないトイレがあってずっと気になっていたので、そこを綺麗にすることにした。
実際に掃除してみると便器というのは女性用より、男性用のほうが構造が複雑であることに気付いた。その分、掃除も難しい。
男性用便器というのは、長年の汚れが、尿石という結晶になってたまっていく。
掃除の時間の半分以上がこの尿石取りである。先端が１センチほどのマイナスドライバーで尿石を少しずつ削り落とししていく。(「掃除道」の本が手元になく、自分なりの方法で掃除したが、鍵山氏の本にはかなりくわしくトイレ掃除の手順や道具が書かれている)
便器の真ん中に5センチ四方の陶器製のスノコ(水濾し?)のようなものがあるのだが、結晶になった尿石が鍾乳石のように成長している…。初めて見た時はさすがにひるんだ(笑)本来、簡単に外れるものなのだが、尿石で癒着してしまっていた。何度も熱湯や洗剤をかけてようやく外す。最後にドライバーで無理に剥がしたらべキッと音がしてスノコの一部が壊れた…
その中は…ちょっとここに書けないようなワンダーランドが展開していた(笑)
トイレ掃除が好きという人はあまりいないだろう。
汚いトイレなら尚更である。
だが、日常の小さなことをおろそかにして、成功や幸福はないというのは桜井章一氏について書いた時も改めて思ったことである。
最近、トイレ掃除をすると運が良くなるという趣旨の本を見かける。
きちんと読んでいないので、なんともいえないが運勢というのは風水のように環境の影響を受ける部分と自分自身の心の影響を受けるという両面がある。トイレ掃除はその両面に働きかけるといっていいだろう。
トイレ掃除の後、たしかにどよーんと淀んでいたトイレの空気が爽やかになった気がしたし、私自身の気持ちもとても壮快になった。
トイレだけでなくその周辺の空気というか、雰囲気も良くなった感じがした。
この点も興味深い。
仏教を学び、実践していくというのは心や身体をバージョンアップすることだと思う。さらに周囲の環境や人間関係も変えていくことができたら素晴らしい。
自分を変えるのは密教でいえば特別な真言を唱えたり、印を組んだりといったことだけではなく、日常の意識と行動をどれだけ変えられるかであると思う。
身の回りを綺麗にする。身の回りのものを大切にする。日常的に発している意識をどれだけ変えられるかというのは大事なポイントだと思う。
もうひとつ大きなポイントがある。
私たちの心の中に＜綺麗＞＜汚い＞という日常的な意識がある。
トイレ掃除というのはこの日常的で、表面的な＜綺麗＞＜汚い＞という意識を壊すことではないかと思う。
正直言って、まだよく分からないのだが、これはどうも自分自身の壁(殻)を越えるということにもつながる気がする。
自分の壁(殻)を越えるというのは一生続く作業だと思うし、一回トイレ掃除をやったからどうというものではないが、例え僅かづつでも、その積み重ねは大きい。
私が本山に入ったときもまず掃除を綺麗に丁寧に行うことを徹底して教え込まれた。
心や身体を変える方法はいろいろあるが、トイレ掃除は特別な道具もお金も掛からない。周りの人にも喜ばれる。
掃除道はなかなか奥が深いと思う。
