御食国へドライブ

burogubou2008-05-16


 ウチの山寺は2世帯同居である。

 住んでいるのは昔風の庫裏なので、プライバシーも無いし、特に嫁には苦労をかけっぱなしである。というわけで週1回位は2人で外食したりドライブに出かけたりする。

 山寺から1時間ほど走ると福井県の小浜に着く。
 小浜への国道はすぐ片側に日本海が間近に見え、車で走るととても気持ちがいい。
 私達のお気に入りの道路である。

 前から行ってみたいと思っていた場所があったのである。

   御食国若狭おばま食文化館  http://www.city.obama.fukui.jp/mermaid/index.htm

 「御食国」は「みけつくに」と読む。
 「御食国」とは朝廷に天皇の食料を納めた国のことである。
 若狭は塩や海産物を天皇家に供する特別な地域だったようである。

 この会館は「御食国」の伝統に関する展示だけでなく海草風呂などの温泉施設や郷土料理の食べられるレストランも併設された複合施設である。

 最初、ここのレストランで食事をしようと思ったら、この建物の向かいにガラス張りで縦長の変わった施設があることに気付いた。

   濱の四季 http://www.city.obama.fukui.jp/mermaid/hamanoshiki/

 地元の食材を使って、郷土料理研究家がプロデュースしたスローフードのお店とのこと。
 メニューにもかなりこだわりが感じられたので、ここで夕食を食べることにした。


 店が縦長なのは理由があった。道路を挟んで、すぐ横が日本海なので、その風景を楽しみながら食事ができるという趣向なのである。
 妻はカニクリームコロッケ。私はシーフードのカレー。どちらもすごく丁寧に作ってあった。
 6時半くらいになると、夕陽のぎらぎらした感じが穏やかになって、淡い、穏やかな夕陽の色になる。その色が海面に映えると独特の光景になる。
 そんな景色を見ながらの食事はとても楽しかった。

 帰りにテイクアウトメニューを見ると、わかめのソフトクリームとか鯖のサンドイッチなど謎の食べ物を見つけた。また出かけることになりそうである…

 ところで「御食国」とはどんな役割だったのだろうか?

 食文化館の展示を見ていると、昔から豊かな食材に恵まれた地域だったというようなことが書いてあった。
 私が前から気になっていたのは、日本の古い文化の中に海洋民族の文化が入っていて、海にまつわるものを食べたり、供えたりすることがやはり特別の意味を持っていたのではないかと思うことがある。その供給地のひとつがこの若狭だったようである。つまり単に良い食材が取れるから献上したというだけではない気がするのである。

 もうひとつ気になることがある。第26代の継体天皇の出身地は福井県なのである。実は継体天皇以後の皇室の系譜はきわめてしっかりしていることから、現皇室の源流となったのが継体天皇の血統であるという説が有力なのである。(←資料が手元にないのでここらへんはかなりいい加減な記述であることをお断りしておきます)つまり天皇家の故地の食べ物を食べるということはやはり何か特別な意味あったのではないかと考えられるのである。
 
 相変わらずそんなとりとめのないことを考えながら帰途についた。
 御食国はなかなか奥が深いようである。