修行僧に差し入れ

 先日、あるお坊さんに「今度、オリゴジョウを持ってきてください」と言われた。
 私は一瞬、「オリゴ糖の錠剤」を思い浮かべたが、かなり経ってから「折五条」であることが分かった。これは私の宗派では普通「輪袈裟」と呼んでいるものであるが、別名を「折五条」というらしいのである。一般の方にとってはお坊さんというとひとくくりの世界だが、同じ真言宗でも本山が20近くある為に細部のしきたりや言葉使い、習慣などは随分異なっていて、時々、コミュニケーションが取れないことがある。

 ましてや禅宗真言宗など、宗派が違えば尚更である。やはりお坊さんの世界というのは特殊な世界だなあと思わずにはいられない…

 先日、お坊さん専門誌「月刊住職」を読んでいたら「高野山で大衆供養拝辞」と書かれてあった。これも、高野山で修行した方に聞くと「大衆供養」とは「差し入れ」のことなのだそうである。修行僧へのパンやお菓子の差し入れが度重なったので、差し入れ禁止の決まりができたとのこと(笑)
 私が本山に居た頃は差し入れといっても本山に用事出来た先輩がお饅頭を一箱くらい差し入れて下さるような場合が殆どだったが、総本山の高野山ともなると差し入れの量も半端ではないらしい…お饅頭や菓子パンを食べ過ぎて修行が差し支えるというのもどうかと思うが。身体が疲れるととにかく甘いものが食べたくなるのもよく分かるので、差し入れ禁止と聞くと、少々、同情を覚える。


 私の本山での食事は週2回近所の八百屋さんが野菜や豆腐、こんにゃくなどをみつくろって持ってくるので、それをやりくりして食事を作る。
 調味料は塩、味噌、砂糖、ソース、ケチャップくらいである。(卵が入っているのでマヨネーズは不可である)調味料の種類が限られているので、やはり味付けは同じようなものになる。
 昆布などダシになるものも無いので、何かの拍子に昆布を差し入れに貰った時は多いに重宝した。(ダシを取ったあとの昆布は佃煮にして食べる)やはり,そんな単調な食生活の修行僧にとって差し入れは嬉しいものである。
 今年の私の宗派の本山での修行僧は6名が入山したが、1名が欠け、5人で修行しているという。高野山の修行僧が70人前後であるのと比べるといかにも少ない。
 やはり今度、本山にいく時は差し入れでも持って行って激励したいところである。
 通常の差し入れは和菓子が多いので今度、本山に行くときはケーキをホールで…と思案中である。