ミミズの御殿
最近、あちこちの排水溝の掃除をしていて気付いたことがある。
排水溝に溜まるのは大抵が落ち葉なのだが、その中に大量のミミズが繁殖して、落ち葉が真っ黒でさらさらの綺麗な土になっているのである。
畑には堆肥用に木枠で囲って沢山の落ち葉を溜めているが、そのなかにはそれほどミミズはいない…なぜだろうか?と疑問に思った。
排水溝の真っ黒な土を取り出すと沢山のミミズが出てくる。細いのや太いの、長いのや短いのと様々である。
一番、感動したのはミミズの赤ちゃんらしきものの存在である。
数ミリくらいの半透明の物体(植物の根っこそっくりである!)がミミズっぽく、のたりくたりとゆっくり動いているのを見たときは惚れ惚れとした。
山寺の周囲は土質が悪く、赤土や石ばかりで土質が悪い。
10センチも掘ると石灰岩らしい岩盤が出てくる。恐らく何億年か前は海底だったのだろう。
だから真っ黒な土を見るとすごく嬉しくなってくる。そんな土を作るミミズとは大したものだと思う。
そのうちにミミズを増やしたくなった。
排水溝にミミズが発生する理由としては排水溝の細長い環境がミミズの成育に適しているらしいとしか考えられない。というわけで、駐車場の排水溝にこっそり大量の落ち葉を敷き詰めてみた。
暫くしてから排水溝の掃除をした意味がないことに気付いた(笑)。だが、ミミズを増やして、真っ黒な土が取れれば十分、採算が取れる…はずである。現在はEMという微生物資材を使って生ゴミを畑に還しているが、さらにミミズを使って良質の堆肥や土壌を作れないか…と妄想が膨らんだ。
今日は用事で京都に出かけたが、京都駅八条口のアバンティ・ブックセンターでミミズの本を衝動買いしてしまった。1800円也。久々に痛い出費である。
「生ゴミを食べてもらうミミズ御殿の作り方 ミミズコンポスト完全マニュアル」
佐原みどり VOICE
ミミズで生ゴミを処理するための方法や道具がこれでもかというくらい書いてある。
有り合わせの木箱やプラスチック容器から数万円もする本格的なミミズ用のコンポスト容器まで実に様々なものが紹介されている。ただ枯葉などはあまりミミズの餌に適さないと書いてある。あくまで家庭の生ゴミをミミズで処理することがこの本の趣旨である。
この本を読んで、ようやく幾つかの謎がとけた。
ミミズの成育に適した環境は深さが20〜40センチなのだそうである。
それより深い場所ではミミズが呼吸ができなくなるとのこと。排水溝はぴったりの深さなのである。ミミズは水分が多すぎると窒息してしまうが、排水溝なら当然水はけが良い。しかも外界から遮断されているのでモグラや鳥といった天敵からも守られている。雨の日などによくミミズが移動するが、それらが水に流され排水溝に集まるのも、ミミズの増える原因のようである。
私は、以前沢山見つけたミミズを畑に放してやったのだが、どうやらこれは失敗だったようである。落ち葉や生ゴミを綺麗に食べるシマミミズという種類であり、このミミズは土壌の中での生活には適さず、すぐ死んでしまうそうである。
3000〜7000種類といわれるミミズの中でも生ゴミを処理してくれるミミズは数種類しかいないという。なかなか難しいではないか…
真っ黒な土だと思っていたものの大半はミミズの糞であり、このミミズの糞が実は肥料として非常に高品質とのことである。
たかがミミズといえど増殖させるのはなかなか難しいことが分かった。それでも、真っ黒でさらさらのミミズの糞は実に見事なものだったので、これから暫くの間、家族には内緒でミミズの研究に打ち込む予定である。