蛙 夕立 ホタルブクロ

今日も兼務している山寺で留守番である。
昼過ぎに湿った冷たい風が吹き始めたと思ったら一斉に蛙が鳴き始めた。

このお寺は小さな池が4つほどあるので、普段でも蛙の声が絶えない。そこここで蛙が鳴き始め、その声が何かを求めているように大きく響き始めた。4つある池は離れているので、不思議な立体感で聞こえてくる。私の居る小さな寺務所を包み込むように聞こえる。

鳴き声がピークになるのと殆ど同時にふっつりと鳴き声が止んだ。
それから20分近くして夕立が降り始めた。ちょっと楽しい体験だった。これから雨が多くなれば、そんな蛙の声を聞くことも多くなるのだろう。

雨の間は暫く本を読んでいたが、何時の間にか止んでいた。
雨に濡れた梢に陽光が当ると、光が散乱するのが綺麗である。
まだ夏ほど気温も高くないので、爽やかな気配も楽しい。

車で帰る途中、道路の脇の斜面にホタルブクロを見つけた。
この季節の好きな花である。夕立に洗われた、瑞々しい茎の色と、白い花の色のコントラストが美しい。
洋花の前向きで、あっけらかんとした感じではなく、見るからに陰性の美感を連想させる花であると思う。
一見、控えめそうだが、精は強く、よく繁殖するので庫裏の傍にも植えたいと思っている。

もうじき梅雨も本番を迎えるようである。