身を護るために


 本日は京都の本山にて総会。
 同じ派に属する京都府下のお坊さんの会議である。

 ようやく夕方に山寺に帰り着いたが、明日は本山の同期生の結婚式のため九州へ。
 友人代表のスピーチまで頼まれている。ちなみにまだ文面を考えていない(笑)
 念の為、式次第を確認しようとして先方に電話すると「誰も聞いてませんから大丈夫です」とのこと。随分な物言いである…

 二条駅からJRに乗る前に駅前の複合ビルに入ると大型書店があった。
 絶版になっていた山田英司氏の本が増補改訂版で出ているのを発見!しかもDVD付きで。速攻買いである。

 「武術の構造  もしくは太極拳を実際に使うために」山田英司 (東邦書店)

 帰りの車内で一気読みである。
 長い間、疑問に思っていたことが次々と解明されていく。或いは全く新しい視点からの記述も。武道関係の本は久々に買ったが実に興味深い。40年以上にわたる実践的稽古、指導経験、理論の構築が一体化したなかなかの名著である。


 都内に住んでいた頃、時々池袋の東急ハンズに買い物にいった。
 ある日、ハンズに行くと、入り口に人だかりがしていた。「お年寄りが日射病で倒れた」と誰かが言った。物見高い通行人が嫌になってハンズの側のファーストフードで昼食を食べていると、は入ってきた客の一人が「ハンズで通り魔が出た」と言った。日射病で人が倒れたというのはデマで、通り魔に刺された直後だったのだ。暫くして救急車がやってきた。
 紙一重で通り魔に遭遇しかけたことに後で気付いた。

 通り魔のような突発的な暴力からどのように身を護るかというのは大きな課題だろう。
 武器を持った相手にどう対処するかという訓練は武道の上級者でも体験しないことが多い。

 護身術の本を読むとかなり荒唐無稽に思えることが書いてあることが多い。
 <ナイフを振り下ろしてきた相手の手首を捕まえて>とか書いてあるが、訓練していない人間が凶刃を振るう人間の攻撃を捌くのは殆ど不可能に近いのではないだろうか?何より、恐怖心で思考停止になってしまう可能性が高い。

 通り魔などの犯罪では大きく2種類の凶器が使われる特徴がある。

 ○ 金属バット、鉄パイプのように、刃がなくて長い鈍器
 ○ ナイフ、包丁のような短い刃物

 この2種類の凶器にいかに対処するか、イメージトレーニングや実際の身体トレーニングを積むことは無駄ではないと思っている。

 最近、この分野で注目しているのは功朗法という団体である。
 実戦的で、非常に合理的なトレーニングシステムを持っている。

      功朗法       http://koroho.at.infoseek.co.jp/

 私の住む町でもつい先日、女子高生が殺害されたばかりである。都会は危険だが、田舎は安全という考えは通用しなくなりつつある。

 危機管理の意識を持つことは緊急の課題である。
 そのことは国家レベルの安全保障の問題とも直結している。
 他国の悪意ある振る舞いに対して「粘りづよい対話によって解決するべき」と標榜する人達がいるが口先だけの理屈や理想論は通用しない世界が存在することは、個人レベルの護身を考えた場合きわめて明らかである。

 身を護れなければ死ぬだけという冷酷な世界が存在する。
 その事実を直視できない日本人が増えているのは残念ながら事実である。