雨の日の愉しみ

本日は大阪から友人夫婦が遊びに来てくれた。

地元の一番のオススメスポットである五老が岳で待ち合わせたのだが、展望台に着いて下界を見下ろすと白い靄(もや)につつまれて全く景色が見えない。小雨が降っているので少しは視界が悪いとは思ったがこれほどとは思わなかった。別の意味で眼の前が真っ白になった…

この五老岳は好天には素晴らしい景色を堪能できる。
海の中に浮かぶ山並みの美しさは圧巻である。天橋立にもひけをとらないのではないかと思うくらいで、近畿百景の第一位に選ばれたこともあるが、全国的には無名といっていい。地元の観光協会がもっと広報に力を入れて欲しいと思っている。

 http://www.maizuru-kanko.net/menu/nature/nat.htm

 気を取り直してこんどは自然文化園のアジサイ展へ。
 ちょうど満開の時期で、数万本のアジサイが咲き乱れる様は見事だった。このアジサイもおそらく全国屈指の規模である。しかも入場は無料。日曜なのでさすがに人が多い。

 http://www.city.maizuru.kyoto.jp/hanamidori/bunkaen/siki.htm

 そのあと昼食をとるために農村レストランふるるファームに向かった。

 雨はだんだん強くなりなりやがて土砂降りになった。
 しかもレストランの前には行列が…私たちの前には15組ほどが順番待ちに名前を連ねていた。やはり予約すべきだったと後悔したが、小一時間待ってようやく店内へ。

 このレストランは最近流行りの自然食バイキングである。
 友人夫婦はこのタイプのお店が大好きと判明し、一安心である。
 地元の野菜をたくさん使っているせいか、素材の味がとても美味しく感じられる。
 メニューも以前来たときよりグレードアップした感じである。行列ができるのも納得である。友人も「これまで食べた自然食レストランで一番美味しい」と太鼓判を押してくれた。

 http://www.fururufarm.com/sisetu.htm

 食事を終えて山寺に向かったが。雨が止み、日差しが明るくなった。

 山寺に着いてお茶を飲んでもらうことにした。
 本堂の脇に10畳敷きほどのお堂がある。
 ちょうど清水の舞台のように山の斜面に突き出していて、周りはもみじで囲まれている。
 ここでお茶を飲んだら美味しいのではないかと以前から考えていた。
 小さなお堂の窓を全部開け放し、そのなかでいろんな話をしながらお抹茶を頂いた。
 お菓子は東月堂という地元の古い和菓子屋さんの生菓子。アジサイや新緑のもみじを模(かたど)って綺麗である。室内から見ると、雨あがりに濡れた木々の葉が光っていた。雨の上がった直後は少し蒸し暑かったが、やがて涼しい風が吹き始めた。遠くの山には白い靄(もや)が小さな塊になって流れている。景色を愉しみ、いろんなこと話ながらのとても楽しいお茶会になった。

 お堂から庫裏に帰ってくると、また雨が降り始めた。
 しかも前よりも激しい土砂降りで、庫裏の前の地面に見る間に大きな水溜りができていく。
 しばらくして雨が小雨になったのでようやく友人夫婦は帰途についた。
 ちょうどお堂でお茶を飲んだ間だけ、雨が上がってくれたことに気づいた。
 雨の日の愉しい時間だった。